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2014年5月26日 (月)

「メンドーサゲーム」…1点に対する執着の差

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「野球の試合で一番面白いスコアは
87だ」と言ったのは元オリックス・ブルーウェーブのルーズベルト・ブラウンだが、実際には87などというスコアは投手陣がぴりっとしないか、守備の乱れが目立つ試合であることが多い。それでも逆転に次ぐ逆転となればファンはめまぐるしく一喜一憂するものだが、対照的にひとたび点を失ったら最後、誰も援護してくれない試合を「メンドーサゲーム」という。


これは「昨年までの成績の『倍返しだ!』」と大見得を切ったのに、「0勝は倍にしても、百倍でも0勝は0勝だよ」と軽くあしらわれた男の逆襲撃を描いた「上沢直之」と同じ作者らしい。



(写真:八回裏一死二、三塁のピンチを招き、ここまで1失点ながら交代を告げられたルイス・メンドーサ)



北海道日本ハム銀行は打線がなかなか得点を融資せず、優秀な投手を見殺しにしてしまうことで有名だが、柴田保光、武田勝に続く三代目の無援護王が君臨している。ルイス・メンドーサ。前日
(24)までの防御率が3.08ながら25敗。なかなか打線の援護に恵まれないが、腐らずによく粘り強い投球を続けている。


敗戦処理。は“打線が1点しか取れなければ0点に抑えるのが投手、投手が10点取られたら11点取るのが打線”という考え方なので、無援護に泣く投手にあまり同情する方ではない。ましてや1点や2点とはいえ失点しておいて、「自分の役割は果たせたと思う」等とコメントする投手には同情しない。最少失点に抑えたことは評価するにしても、チームが負けたのだから他に口にすべき言葉があるだろう。かつての武田勝は1失点で敗戦投手になっても「あの回を抑えていれば流れが変わったと思う。もったいない1点だった…」的なコメントを残していた。それこそ泣かせるではないか…。


もちろん悪いのは野手陣だし、逆の見方をすれば最少失点を守り抜く投手、今日で言えば小山雄輝が素晴らしいのだが…。


メンドーサは今日の登板を含めて防御率3.00だが、メンドーサが先発した試合で、メンドーサが降板するまでに味方が入れた得点を防御率と同じ計算方法で計算すると2.86にしかならない。
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即ちメンドーサが九回まで投げきると
3点取られる計算になるが、得点は2.86点しか入らない計算になる。確かにこれはむごい…。


1対0の試合、解説者はおうおうにして「次の1点がどちらに入るか」という。ファイターズが追い付けば追うものの強みが発生し、ジャイアンツが追加点を加えればとどめを刺す感じになる。今日もそんな感じだった。


ジャイアンツの虎の子の1点は四回裏の先制点。一死からホセ・ロペスが右中間を破り二塁打で出て、続く阿部慎之助が左中間を破って先制。
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この1点を先発の小山が守る。ファイターズ打線はろくに走者も出せない。四回表に腕をかすめた陽岱鋼の死球が初めての走者で、続く五回表の大引啓次の右中間二塁打がチーム初安打。だがホームまでは遠い。


七回表。東京ドームのジャイアンツ戦では七回裏には「闘魂こめて」を流すのに表にはビジターチームの応援歌を流さない。ところがB☆Bは六回裏のジャイアンツの攻撃が終わるやいなやレフト側ビジター応援席の前に走り、応援団が独自に演奏する「ファイターズ賛歌」に合わせて踊っていた。
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物言わぬマスコットのホームチームへの無言の抵抗と思ったが邪推が過ぎるだろうか…。


B☆Bは試合前にはジャイアンツの球団創立80周年記念のジジージャビットをKOする勇ましさを見せたが、ファイターズで元気だったのはB☆Bだけだった。
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しかしこの七回の攻撃では肝心のクリーンアップが三者連続三振に倒れる始末。
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今季初勝利どころか発完封もという勢いになったが、八回表、先頭の大引が二本目の安打で出ると、ファイターズは続く近藤健介に送りバントを命じ、一死二塁として佐藤賢治に代打、北篤を送る。するとジャイアンツは好投の小山からスパッと山口鉄也にスイッチ。ファイターズも右の代打を…と思いきや、北がそのまま打席に入り三振。続く大野奨太の代打に石川慎吾を送るも、あえなく連続三振。交流戦初戦では代打で決勝本塁打を放った石川慎だったが、正直この場面は役者が違うと感じた。



小山が好投を続けているとは言え、もう八回。何かあればジャイアンツが山口、スコット・マシソンとつないでくるのは自明の理。そうであれば先攻のファイターズは同点狙いでなく、出来れば逆転狙いに行くべきで、大引出塁の無死一塁から近藤に送りバントは極めて消極策に思えた。佐藤賢に代打北なんて山口を出してくださいと言わんばかりの起用。ここは石川慎だけでなく、杉谷拳士もつぎ込んで勝負を賭ける意気込みを見たかった。

確かに北は食らいついていくタイプで左対左でも何とかバットに当ててくれそうな期待感もあるが、マウンドにいるのはそこいらの左投手ではない。
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6
年連続60
試合場登板の百戦錬磨のサウスポーセットアッパーから簡単に1点を奪えると思ったのだろうか…。


その裏、ジャイアンツは先頭の坂本勇人が四球を選ぶと、続くフレデリク・セペダもレフト前に運び無死一、二塁。ここでロペス、阿部、村田修一と続くのだがジャイアンツベンチはロペスに送りバントのサイン。
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スタンドはどよめいたが、今季の原辰徳監督の采配傾向からすれば、驚くことではない。上述したように次の
1点がポイントでもう八回裏。ましてや相手の三塁手が本職は捕手だと考えればバントのサインが出るのが普通とすら思える。


一死二、三塁としてメンドーサから先制打を含む二本の二塁打を放っている阿部を迎えた。一塁が空いているので歩かせる選択肢も考えられたが、冒頭の写真の様にメンドーサを代えて左対左となる宮西尚生を投入した。


左対左とは言え相手は阿部。宮西、市川友也のバッテリーも際どい所を突いて攻めるが結局四球。一死満塁となって右打者の村田を迎えると、宮西から右のマイケル・クロッタにスイッチ。するとジャイアンツは村田に代打、高橋由伸。これも、どうしても1点を追加したいなら原監督にとっては不思議な采配ではない。敗戦処理。は好きではないが、こういう采配をする監督なのである。時折物議を醸す表現だが、敢えて言う「選手を将棋の駒のように扱う」采配だ。だが、ここまでは栗山英樹監督も読めるはずである。阿部の場面でメンドーサに阿部を歩かせて満塁にして、そこで村田に代打、高橋由が起用されたら宮西をつぎ込めば良いのである。栗山監督は何故それが読めなかったのか?高橋由に代打の代打が起用される可能性も無くはないが、こういう場面で怖い矢野謙次は登録を抹消されている。怖いのは井端弘和くらいだろう。右打席だとしぶとい鈴木尚広も代走で出ているので、ジャイアンツベンチに右打ちの野手は捕手の二人しか残っていないはずだ。


クロッタ対高橋由は一球で決着が付いた。いわゆるギャンブルスタートかと思うくらい早い坂本の好スタートでただの二塁ゴロが併殺打にならず打点付きの凡打になった。2対0。


「野球の勝負は最後まで何が起こるかわからない」…とお題目のように唱えるファンもいるが、今日の試合はここで大勢が決したと言って過言でないだろう。最終回はマシソンが三人で抑えてジャイアンツは2対0で勝利。小山は二年ぶりの勝利投手となった。


メンドーサはリーグ最多となる6敗目となった。これが本当の「メンドーサゲーム」


「メンドーサゲーム」は余分な得点が入らないから試合時間も短く2時間42分。「ルーズヴェルト・ゲーム」を楽しみにしていたファンはスタートから見ることが出来たろう<>


因みに「メンドーサゲーム」と同じ作者の人気ドラマ「上沢直之」の上沢には、半沢直樹と同じく同期に“近藤”がいる。半沢の同期の近藤と同様にこちらの近藤健介も三塁手に飛ばされている。だが飛ばされた先で自分の職務を全うしている。近藤の前に「私の力でこのコンバートを無かったことにする」と裏交渉する幹部が出てくるかは定かではないが、近藤の三塁起用、近藤が大過なくこなしているのは評価すべきだろうが、投手の攻め方に制約が課されるなど目に見えないマイナスもあるという。
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個人的には今浪隆博を放出したチームへの野球の神様からの戒めだと思っているが…。



捕手が三塁を守るチームと、開幕四番を務めた正三塁手にかつての四番打者を代打に送り、その後の三塁には昨年まで他球団で名遊撃手として馴らした選手が入るチーム。この差は如何ともし難く、栗山監督と原監督の里も思えないが1点に対する執着の差は両監督間にあったのではないか…。

もちろんその前提となった小山の好投を評価すべきであることは言うまでもない。
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小山も今度こそこれを機に先発ローテーションに食い込んで欲しい。単なる谷間の試合ではない。今はチャンスだ。



今日は正直に言うと、ジャイアンツ寄りのスタンスで生観戦していた。どちらも応援しているが、直前にマリーンズに連敗したことと、両チームにまつわりのある球場ではあるがやはりジャイアンツの東京ドームと言うこともあり、この二連戦はジャイアンツ寄りのスタンスを貫こうかと思って東京ドームに足を運んだ。だが試合前のスタメン選手のヒッティングマーチから一々「讀賣倒せ」という応援団の姿勢に辟易したのも事実で、どっちつかずとなってしまった。明日も仕事が早く終われば行くつもりだが、どうなるか…橙魂ユニ欲しいよ。



「野球の試合で一番面白いスコアは87だ」アメリカ合衆国第32代大統領フランクリン・ルーズベルトが言ったとされる。1937年1月に野球記者協会から招待されたディナーを欠席することを詫びた手紙の末尾に記されたという。

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コメント

けーたく様、コメントをありがとうございます。

ツイッターでコメントを下さった方ですね。

ちょうど「ルーズヴェルト・ゲーム」が放送されていた年ですかね。懐かしいです。

なお、拙blogは容量オーバーになりましたので、過去エントリーを含め、下記に引っ越しました。今後はこちらにてお付き合いいただければ幸いです。

http://haisenshori.cocolog-nifty.com/baseball2/

投稿: 敗戦処理。 | 2016年7月 9日 (土) 21時51分

ブラウンというと2003年。
今年の5月24日のように、ホークス他各チームに完膚なきまでにやられたあの年にいた選手ではないですか。打撃は良かったが、守備はザルだった…

あの年、オリックスが8対7で勝利したのは4/22、5/19、9/2の3度。
敗北は1度もありませんでした。
アドレス参照

http://www.idbaseball.jp/con/sch/sch2003/ob.html

投稿: けーたく | 2016年6月20日 (月) 23時02分

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