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2014年5月11日 (日)

見てはいけないものを見てしまった…山本昌がファームで3回9失点の大炎上。

Adsc_0181 訳あって福岡に来ることになったので、雁の巣まで足を伸ばしてウエスタン・リーグ公式戦を見ることにした。旧大阪近鉄バファローズを含む十三球団のファームの本拠地で唯一生観戦したことがないのがホークスの本拠地、雁の巣球場だったということもあって即決した。


10日のホークス対ドラゴンズ戦、ドラゴンズの先発が山本昌だったのでこれはラッキーと色めきだったが、残念ながら見てはいけないものを見てしまった感じだった。


(写真:ドラゴンズの先発・山本昌の大量失点を表すスコアボード。わかりづらいが右手前がマウンドの山本昌。)



投げるレジェンド、山本昌を見ることが出来たのは良かったが、内容的には見てはいけないものを見てしまったという感じの試合だった。



ドラゴンズの落合博満ゼネラルマネージャーが、前人未踏の50歳公式戦登板達成を後押ししようとしている山本昌。結果的に退団に至った井端弘和への大幅減俸に象徴されるシビアなコストカットが衝撃を走らせた昨オフの契約更改で、山本昌は落合GMから事実上の二年契約を前提とした扱いを受けた様なものだ。来年2015年、1965(昭和40)811日生まれの山本昌は日本プロ野球界では前人未踏の50歳での公式戦登板に挑戦する。


だが、いくら鬼の落合GMの後押しがあろうとも、今季を越えなければ来季はない。今季も超ベテランらしい味のある投球を見せたいところだが、ここまで一軍からはお呼びがかかっていない。ファームでもこの登板の前までで5試合に投げて12敗。防御率は5.25と、表に出てくる数字は頼りない。


今日の対戦するホークスのスターティングメンバーと、生年月日を記述する。

 

()明石健志198619日生まれ
()高田知季199056日生まれ
()福田秀平1989210日生まれ
()李杜軒1988421日生まれ
()猪本健太郎19901223日生まれ
()牧原大成19921015日生まれ
()真砂勇介199454日生まれ
()釜元豪199393日生まれ
()拓也1992115日生まれ
()飯田優也19901127日生まれ。


最年長が一軍に在籍中で、この日も一軍と昼夜兼行の明石健志で、台湾で生まれた李杜軒を除けば唯一の昭和生まれ。山本昌のドラゴンズ入団一年目に当たる1984年に生まれていた選手はいない。ファームだから若いのは当然とは言えこの年齢差は凄い。余談だがドラゴンズのファームの監督、コーチでも山本昌より年上なのは打撃コーチの高柳秀樹(1957年生まれ)だけで佐伯貴弘二軍監督からして5歳年下。


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初回は二死から福田秀平にセンター前に運ばれたものの、四番の李杜軒を打ち取って無失点に凌いだ山本昌だったが、二回に捕まった。

 

先頭の猪本健太郎と、続く牧原大成に連続してセンターオーバー、バックスクリーンに放り込まれて2点を失った。風がホーム方向からセンター方向に向かって吹いていたことは確かだったが、修正統一球が出回って使わなくなった飛びすぎる統一球がファームにお下がりしてきたのではないかと勘ぐりたくなる程あっという間の出来事だった<冗>。だが、この二連発はほんの序章に過ぎなかった


ホークス2点リードで迎えた三回裏、ホークス打線はさらに山本昌に襲いかかった。


先頭の福田が今度はバックスクリーンではなかったが右中間にソロ本塁打。
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二回は本塁打連発の後のピンチを何とか凌いだ山本昌だったが、この回はこの一打から堰を切ったように続くホークス打線の波状攻撃にやられる。


李杜軒四球、猪本左前安打の無死一、二塁から前の打席で本塁打を放った牧原が送りバント。これが三塁前の内野安打となって無死満塁。


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真砂勇介
がライトの右に運ぶ
2点タイムリー二塁打で2点を追加してなお無死二、三塁。


ここで山本昌は続く釜元豪を前進守備の一塁ゴロに打ち取るが自らの一塁ベースカバーが遅れて内野安打になって再び無死満塁に。
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九番の拓也がライトに犠牲フライを放ってなお1点。一死一、三塁から一塁走者の釜元が二盗に成功して二、三塁に。ドラゴンズは再び内野が前進守備に。皮肉なことに明石の打球は前進守備の二塁手吉川大幾の後方に上がり、吉川が落球する失策でこの間に真砂が生還。高田知季が四球で再び満塁とすると、このイニング二度目の打席となる福田がレフトの前にタイムリー。

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なおも満塁から李杜軒が右犠飛でこの回だけで7失点。



続く猪本の打球もレフトに火の出るような打球だったがレフトの工藤健人がスライディングキャッチのファインプレーでようやく攻撃が終わった感じだった。


山本昌はこの回限りでマウンドを降りた。3イニング、打者23人に対して被安打11(内被本塁打3)、奪三振2、与四球2、投球数は敗戦処理。調べで88球。9失点(自責点は6)


素人目には、ホークス打線は山本昌の投球を出来るだけ引きつけ、それをフルスイングで弾き返している感じだった。要するにいいように打たれていた感じだ。タイトルに書いたように、見てはいけないものを見てしまった感じだった。


雁の巣球場はライトの芝生席を開放していたが、他はネット裏と一、三塁側に観客席があるだけ。敗戦処理。は三塁側に陣取ったが、周りは一塁側に入れなかったホークスファンが多く、ドラゴンズファンはもっともレフト寄りに位置して声を張り上げて応援していた十人程度のグループを除くと、百人を切るくらいしかいなかったのではないか。
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そのホークスファンも、生山本昌を観ることが出来てラッキーと感じていたようだが、あまりの容赦ない一方的な攻撃に、素直に喜んで良いのかとまどっている感じもあった。



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試合は山本昌の後を受けて四回から登板したドラゴンズの育成選手、レアンドロ・メジャもつかまり、四球、本塁打、四球、四球となったところで交代。三番手で登板した井上公志も連打を浴びてホークスにさらに5点を追加されて0対
14となり、最後まで一方的なまま終了した。


ホークスの先発、育成選手二年目の飯田優也は山本昌と投げ合っていたからというのもあるかもしれないが、ビシビシと速い球が決まっていた感じ。走者を出しながらも力でねじ伏せていた感じだった。
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「これで本当に育成選手なのか
!?
という印象を持った。ジャイアンツでは第二の二軍が解体されて居場所が定まらない育成選手が増えてきたようだが、ホークスは三軍として階層を明確にしている。だからこそこういう選手がいるのだろうか。


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ドラゴンズでは入団三年目で飛躍が期待されるはずの高橋周平が六回表に打った瞬間にわかるライトオーバーのソロ本塁打を放って一矢を報いた。また、飯田から岡本健に代わった七回表にライオンズから移籍の武山真吾が左中間に本塁打を放った。
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だが序盤からの大量失点は大きく、2対
15とドラゴンズは完敗した。


10日・雁の巣球場】
D 000 001 100 =2
H 027 050 01× =15
D)●山本昌、メジャ、井上、伊藤-桂、武山
H)○飯田、岡本、山中-拓也
本塁打)猪本6号ソロ(山本昌・2回)、牧原2号(山本昌・2回)=二者連続。福田4号(山本昌・3回)、亀澤1号2ラン(メジャ・五回)、高橋周1号ソロ(飯田・6回)、武山1号ソロ(岡本・7回)


一試合だけの印象で語ってはならないのを承知の上で書くが、山本昌は一軍で投げるにはまだまだ時間がかかるのではないか。先制パンチをガンガンやられ、バックに足を引っ張られた感もあったが、一度乱れると歯止めが利かない。投げるレジェンドと言えども既に48歳。普通のプロ野球選手ならとっくに引退している年齢だ。これからいかにして調子を上げていくか。山本昌が元気で投げる姿を見たいのは落合GMだけではなく、ドラゴンズファン、多くのプロ野球ファンの共通の思いだろう。道は険しいだろうけど、今季、そして来季もドラゴンズの戦力となるレベルまで何とか引き上げて欲しい。


Cdsc_0166 その山本昌とバッテリーを組んだルーキー捕手、桂依央利4月19日の対バファローズ戦での投手への返球のあまりにもあまりにもなノーコンぶりがYou Tubeに晒されてしまった。超ベテランの山本昌とバッテリーを組ませるからにはもはや克服されているだろうと思って見ていたが、さすがにこの試合ではきちんと制球されていた。ただ、山本昌降板と同じタイミングで武山に交代させられた。


ドラゴンズお得意のドミニカルートで獲得した二番手のメジャ。上述したように2イニング目は不甲斐ない投球で、おそらくは予定より早い、イニング途中での降板となった。
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だがマウンドを降りるとき、数少ないドラゴンズファンは暖かい拍手を送っていた。声援も「ドンマイ!ドンマイ!」とか「次は頼むぞ!」といった類のものではなく、「ナイスピッチング!」と賞賛する声援が複数のファンから発せられた。正直、耳を疑った。KOされた投手であろうと、その日の出番を終えたのだから「ご苦労さん」的に拍手をするファンも少なくないが、そのイニングの結果が四球、本塁打、四球、四球という内容で降板する投手に「ナイスピッチング!」はないだろう。ホークスファンが皮肉で言っているのかとも思ったが声援の主はドラゴンズのユニフォームを着ていた。



この日の雁の巣球場では、選手への中傷ヤジや審判員へのヤジを窘める場内アナウンスが試合開始前を含め、数回なされていた。ということはそのアナウンスをしないときついヤジが飛び交う風潮があるのかとも思ったが、それどころかぬるい声援が飛んでびっくりした…。


散々な内容で三回でマウンドを降りた山本昌。三回裏のマウンドはそれこそ晒し者にされた感もあったが、ホークスファンもヤジらず、必死にもがくレジェンドに一目を置いているのを察することが出来た。それとも、シャレにならないと思ったのか…。


敗戦処理。は昨年1213日の拙blogエントリー谷繁元信兼任監督、来季悩まされる前代未聞にして最大のジレンマ!? 谷繁元信兼任監督が間近に迫っている通算最多出場記録の思わぬ落とし穴に触れたが、山本昌も落合GMのお墨付きという点では共通点がある。だが選手契約に関しては落合GMに絶対的な権限があるにしても、起用法に関しては最終的には谷繁兼任監督だろう。一方で井端弘和の様に功労者でも大幅な減俸を提示して退団に至ってしまう程で、いくら日本プロ野球で未達の記録に向かっているからとはいえ優先起用という訳にはいかないだろう。


敗戦処理。ももちろん山本昌をナゴヤドームや一軍のマウンドで見たい。


その他、気が付いたのはドラゴンズの吉川大幾が昨年はスイッチヒッターに挑戦していたのに、この試合では投手が左投手の飯田から岡本に代わった以降も右打席に立っていたこと。
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試行錯誤しているのだろうが、高橋周とともにドラゴンズの次世代内野陣を引っ張っていく存在と期待されている選手だけにこれが迷走でないことを祈る。


ドラゴンズ寄りのエントリーになったが、それだけ山本昌が心配と言うことに他ならない。ただ終始ドラゴンズ寄りで観戦していたわけではない。山本昌からの本塁打を含む3安打と打棒活躍した福田秀平
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敗戦処理。の自宅から近い多摩大聖ヶ丘高校出身のドラフト1位(大嶺祐太の外れ1位)。ドラフト指名の日には報道陣が大挙して高校に向かったため校長先生が「こんなに報道の人が来たのは後藤久美子の卒業式の時以来」と驚いたエピソードがある。そして福田自身、契約金で足の不自由なお父さんのために義足をプレゼントしたそうだ。かつてはダルビッシュ有キラーとして名を馳せたが、近年は故障の影響などでチャンスを摑み得ない。ホークスの外野陣は好打者揃いだが、何とか好調を維持して再び一軍で暴れて欲しい。


P.S.
【特別付録】
山本昌全対戦

(投球凡例:見逃しストライク=○、空振りストライク=×、ボール=●、ファウル=△、打撃=打。)

【一回裏】
明石○打=左飛
高田●△△×=三振
福田●○△△打=中前安打
李杜軒△●打=中飛

【二回裏】
猪本●×●●○△打=中越本塁打(1失点)
牧原●○●打=中越本塁打(1失点)
真砂●打=遊飛
釜元○○●△打=中前安打
拓也打=中前安打(ヒットエンドラン成功=一死一、三塁)
明石○△●●△△●×=三振(三振間に二盗、二死二、三塁)
高田●●○×●打=二ゴロ

【三回裏】
福田●×●打=右中間本塁打(1失点)
李杜軒●●△●○●=四球
猪本●打=左前安打(無死一、二塁)
牧原●●打=三塁内野安打(送りバントを試みたが結果的に内野安打に。無死満塁)
真砂○打=右前二塁打(2失点、なお無死二、三塁)
釜元●×●△打=一塁内野安打(無死満塁)
拓也打=右犠飛(1失点、なお一死一、三塁)
明石●●打=二飛失(初球に二盗、一死一、三塁。1失点、なお一死一、二塁)
高田●●△●●=四球(一死満塁)
福田△●△△打=左前安打(1失点、なおも一死満塁)
李杜軒×打=右犠飛(1失点、なおも二死一、三塁)
猪本●△△打=左直(レフト工藤のファインプレー)

この回限りで降板。


山本昌が今後挑む主な最年長記録
最年長出場、最年長登板、最年長先発:浜崎真二4810ヶ月=山本昌が今年6月以降の出場で達成
最年長勝利投手:浜崎真二484ヶ月=山本昌が今後勝利投手になれば新記録

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