【最後の勇者】中嶋聡実働年数28年到達の大偉業!
ファイターズの中嶋聡バッテリーコーチ兼任捕手が27日のゴールデンイーグルス戦で八回から捕手として途中出場。今季一軍公式戦初出場となり、阪急ブレーブスでのルーキーイヤー1987年以来28年連続公式戦出場となった。実働年数28年となり、昨年まで27年で並んでいた山本昌に先んじて工藤公康の29年に次ぐ単独2位となった。既に投手以外の選手では史上1位になっているが、パ・リーグでの実働も27年となり、野村克也の26年を抜くパ・リーグ記録更新となった。
“阪急ブレーブス最後の生き残り”として旧ブレーブスファンからも注目を集める中嶋聡がまた一つ大偉業を達成した。
(写真:2010年のオープン戦で木田優夫とバッテリーを組んだ中嶋聡。当時木田41歳、中嶋40歳。公式戦で実現すれば歴代最高齢バッテリーになるところだったが…。 2010年3月撮影)
一部では現役を引退するタイミングを逃しただけなんじゃないか<苦笑>とも言われる中嶋聡が今年はシーズン中盤、6月の交流戦明けに初出場を果たした。
昨年は遠征中に選手が故障すると、鎌ヶ谷から補充する選手の交通費をけちるかのように(コーチとして元々チームと帯同している)中嶋を登録するというパターンが何回か見られたが、今季は当初第二捕手と目されていた近藤健介を三塁手として起用し、その近藤が勝ちパターンの試合では守備要員と交代して終盤に退くことから実質的に大野奨太と市川友也の捕手二人制を強いられることになり6月14日に選手登録された。
登録後9試合目での初出場で、ルーキーで公式戦初登板となる白村明弘、ベテランの多田野数人とバッテリーを組んだ。多田野とのバッテリーは、投手の投球より捕手からの返球の方が早いんじゃないか<!?>という、ブレーブス、ブルーウェーブ時代の星野伸之との名コンビぶりを彷彿とさせた。
旧ブレーブスと言えば、中嶋は、高木晃次がマリーンズを最後に2009年限りで現役を引退してからは唯一の阪急ブレーブス在籍選手、「最後の勇者」となって五年目のシーズンとなった。今年は昭和末期のパ・リーグにスポットを当てた書物が何冊か刊行されているが、中嶋の希少性は南海ホークス出身の大道典嘉が2010年限りでジャイアンツを最後に現役引退してからは一層際立った感もある。
中嶋の実働年数記録の凄さは、もちろん45歳になってまだプレー出来るコンディショニングの賜だが、高校からすぐにプロ入りしたことと、一年目から一軍公式戦に出場出来たことも大きい。中嶋は入団一年目から28年連続一軍公式戦出場である。
昨年まで実働年数27年で並んでいたドラゴンズの山本昌は中嶋より学年で三年上。
捕手と投手という違いはあるが、31年の在籍でルーキーイヤーから二年間と、2011年に公式戦不出場。そして今季も未出場と空白があるため中嶋に抜かれた。山本昌は落合博満GMとの間で来季50歳での公式戦登板を目指すということで来季までは安泰との見方もあるが、ファームスタートとなった今季は敗戦処理。も生観戦した5月10日のウエスタン・リーグ、雁の巣球場でのホークス戦で3回9失点を喫して以来、ウエスタンでもマウンドに上がっていない。
中嶋は2009年以降、多くて10試合の出場にとどまり、記録のために現役兼任を続けていると揶揄する見方もあるようだ。2011年には東日本大震災の影響で公式戦開幕がずれ込んだためにイースタン・リーグ公式戦に調整登板した斎藤佑樹の女房役として4月にマスクをかぶったが、打撃練習が不足しているのを露呈した(しかし試合では決勝打を放ち、斎藤を勝利投手にした)。
だが、ボールが飛んでこない可能性もある他のポジションと違って一球一球に携わる捕手のポジションでは記録のための出場などと悠長なことは言っていられない。問題視するならむしろ、若手捕手が育っていないのではという観点に向くべきであろう。
ファイターズが北海道に移転して初めて優勝した2006年、翌2007年には勝ちパターンのクローザー、MICHEALとともに捕手として最後を締めくくる抑えの捕手的出場で貢献した。その後も、高橋信二が捕手から一塁手に転向、鶴岡慎也のFA流出など捕手陣に不安要素があって捕手中嶋の需要が途切れないのである。一方で今成亮太や渡部龍一は伸び悩み、尾崎匡哉を捕手転向させてもファームの慢性的な野手不足もあって内野と掛け持ちにして専念させられないといった事情があったり、ソフトボールからの転身の大嶋匠、独立リーグ出身の荒張裕司の力不足、そして今季は近藤の三塁手での起用と「どこが育成のチームなんだ!?」と言わんばかりの状況が実態としてある(これはバッテリーコーチでもある中嶋にも責任の一端!?)。
開幕戦のスターティングメンバーで稲葉篤紀に次ぐ年長の小谷野栄一が故障したら、捕手に三塁を守らせなければならないようなチームが「育成のファイターズ」と看板を掲げるのは如何なものかとtwitterで警鐘を鳴らしたら方々から批判されたが<苦笑>結果的にそれが中嶋の実働年数記録更新を早めた側面があるのは事実。何が幸いするかわからないのが野球。多くのファンの注目を集める中嶋聡。ここまで来たら来季、工藤公康に並び、2016年には前人未踏の実働年数30年を達成して欲しい。
【日本プロ野球実働年数ランキング(25年以上)】
1位工藤公康29年(西、ダ、巨、横、西:1982年~2010年)
2位中嶋聡28年(急・オ、西、横、日:1987年~2014年)
3位山本昌27年(中:1986年~2010年、2012年~2013年。今季一軍公式戦に出場すれば2位タイに)
4位野村克也26年(南、ロ、西:1954年、1956年~1980年)
4位谷繁元信26年(洋・横、中:1989年~2014年)
6位山崎武司(中、オ、楽、中:1989年~2013年)
※ 実働年数=一軍公式戦に出場した年数。ただ登録されてるだけではダメ
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