スワローズ戦で二軍落ちした中村勝と鵜久森淳志、それぞれの一週間後
約一ヶ月ぶりに鎌ヶ谷に観戦に来た。一軍のセパ交流戦は佳境を迎えつつあるが、ファイターズの一週間前の交流戦のカード、スワローズ戦で二人の選手が二軍落ちとなった。一週間前の土曜、14日に先発して2イニングで2失点すると、二回裏の打順で代打を送られて降板。翌日に登録抹消となった中村勝と、奇しくもその中村の代打で登場した鵜久森淳志が翌15日の同カードで、1点ビハインドの九回裏二死三塁で代打に登場。一球もバットを振らずに追い込まれると粘りを見せたが空振り三振に終わり、翌16日にリフレッシュ休暇の意味合いの強い谷元圭介と共に登録を抹消された。
中村も鵜久森もあれから一週間、相手はファームとは言え同じスワローズ戦。中村は先発、鵜久森は「六番・左翼」でスタメン出場。
いみじくも今日のスワローズ戦は中村に始まり鵜久森に終わるという試合展開になった。
(写真上:同点で迎えた九回裏二死一塁からセンターのフェンスを直撃するサヨナラ二塁打を放つ鵜久森淳志。写真下:サヨナラ打を放った鵜久森と、一塁から長躯生還した森本龍弥を祝福するファイターズナイン。)
4時間を超える長い試合だった。一日の出来事を順を追って振り返ろう。
明日22日は二回目の婚活デーだそうだが、今日21日はイベントの谷間の様な一日。いつもと同じ西船橋駅10:00発のバスでファイターズスタジアムに着くと、入場待ちの列が予想通り少なかった。センターバックスクリーン後方に新設された「鎌スタ☆レッチ」を見てみた。
親子連れの観客が親も子も楽しめるような器具が並んでいて、簡単な使用方法も書かれている。他に利用者がいないのを良いことに敗戦処理。も見よう見まねでやってみたが、運動不足の身体には心地よい刺激になる。
早めに来る客が少なかったせいか、試合前サイン会の参加券をもらったので、ありがたく榎下陽大と鍵谷陽平からサインをいただいた。
鍵谷からは昨年初勝利を挙げたバファローズ戦での投球シーンを撮影した写真に書いてもらったが、本人にその旨を告げると、少し驚いて嬉しそうな表情を見せてくれた。
先発はファイターズが中村勝でスワローズが由規。
由規は先日フューチャーズ戦で復帰登板を果たしたが、イースタン公式戦での登板は今季初めて。弟の育成選手、佐藤貴彬は「二番・左翼」でスタメン。兄弟出場となった。
また、ファイターズではシートノックの際に一塁の守備位置で小谷野栄一、赤田将吾、稲葉篤紀の三選手が並んだ。
既にDHで実戦復帰を果たしている小谷野は「三番・一塁」でスタメン出場と初めて守備に付き、途中で赤田と代わったが、稲葉の出場はなかった。
試合前に、地元の支援団体「ファイターズ鎌ヶ谷の会」が選ぶ5月度の月間MVPの発表と表彰があり、野手部門では森本龍弥が、投手部門では木佐貫洋が選ばれた。
入団二年目で特に打撃面で進境著しい成長を見せる森本はともかく、木佐貫という人選はどうなのだろうか?月間2勝と、チーム内最多投球イニングが評価されたらしい。一軍復帰を急がれている戦力なので優先して登板機会が与えられた結果がファームでの表彰とは…。
森本は受賞を励みに、木佐貫は奮起の材料にして欲しい。
ファイターズの先発中村は交流戦突入前から先発で好投を続けていたが、前述の様に14日のスワローズ戦では二回2失点の時点で二回裏の打席で代打を送られた。そして登録を抹消された。後先考えず…とも揶揄された早め早めの継投となったこの試合は辛勝したが、監督やベンチが我慢することも必要なのではと痛感した。もっともこの時点での交流戦の残りの日程を考えると、中村先発の可能性は低く、登録抹消という措置が懲罰的な意味合いだったとは限らない…。
始球式登場回数37回目というベテラン<!?>のベースボール犬わさびがプレゼンターを務めた始球式の後、中村は課題の立ち上がりのマウンドへ。一死から佐藤に一、二塁間を破られると川崎成晃に左翼線に運ばれていきなり一死二、三塁のピンチを招いたが、四番の西田明央、五番の谷内亮太を連続三振に仕留め、辛うじて無失点に抑えた。
だが二回表に先頭の松井淳に中越三塁打を打たれると、四球などで一死二、三塁とされて自らの暴投で先制点を献上、さらに四球を与えて一死一、三塁とされて藤井亮太を遊ゴロに仕留めたものの、前進守備でなく併殺狙いの位置にいたショートの森本龍弥がこの打球を弾く失策で2点目を献上してしまった。
二回表に2失点。不運な面もあったが一週間前の一軍でのスワローズ戦と同じだ。そしてこの後も三回、四回と続けて失点し、一軍での好投は何だったのかという感じになった。
スワローズの先発、由規はこの試合も1イニングだけの登板となった。
先頭の松本剛に四球。続く岸里亮佑の打席で牽制球で一、二塁間で挟殺してピンチを未然に防いだかと思ったら岸里にセンター前に運ばれて一死一塁。小谷野との対決では空振り三振に打ち取り、続く四番の谷口雄也を遊ゴロに打ち取った。この回22球。スピードガン表示を見なかったので最速何kmだったかは未確認。これから徐々にイニングを伸ばしていくのだろう。
由規は降板後にはバットボーイ役をこなしていた。復帰への手応えを感じていることであろう。
スワローズは二回から木谷良平を投入。今季一軍で9試合に先発している。その点では中村より格上だ。
ファイターズは二死から大嶋匠がショートへの内野安打で出ると、八番の宇佐美塁大がフルカウントから右中間を破る二塁打で大嶋を還し、宇佐美を続く石川亮が前のタイムリーで還して2対2の同点とした。
これで宇佐美と石川亮からサインをもらう写真が出来た<笑>。
ファイターズは二死走者無しから三連打で2点。二死からの得点がこの試合のキーワードになる。
中村が松井にソロ本塁打を浴びて1点を勝ち越された直後の三回裏には先頭の小谷野の遊ゴロを谷内が弾く失策で出ると、谷口の投ゴロの間に二塁に進み、一死二塁から森本の三遊間を破る安打で小谷野が一気に生還。足の回復ぶりを示した。
森本の打球は三遊間にゴロで転がり、普通なら二塁走者は抜けるのを確認してから三塁に走るものだが、小谷野は躊躇なくスタートを切っていた。
小谷野としては元気なところをアピールできた様だが、結果的にこの回で退いた。2打数0安打1三振1得点、守備機会は3イニングで刺殺1だけだった。次は三塁の守備に付くのだろうか?ただここまでイースタン4試合、バットの方は7打数1安打とふるわない。もっともその1安打が本塁打だが…。
四回表の中村の失点は先頭の川上竜平に運ばれ、藤井の二塁ゴロで走者が入れ替わり、藤井が二死から二盗に成功。直後に川崎に三遊間を破られるタイムリーを打たれたものだった。
五回表、ファイターズは二番手に武田久を投入。
15日付けで拙blogにてクローザーからの転向…山口俊は3連勝だが というエントリーを立てたばかりなので注目したが、四番からの中軸打線を13球で三者凡退。
これでイースタンでは8試合に登板して8イニング自責点0、依然として防御率0.00のままだ。武田久の一軍復帰はいつ、どんな役割で実現するだろうか…。
武田久がこの試合初めて三者凡退に片付けて流れが移ってきたのか、直後の五回裏、ファイターズが反撃に出る。
由規に代わって4イニング目となる木谷から二死を取られた後、四番の谷口雄也がライトフェンス直撃のシングル安打を放つと、森本は四球。ここで鵜久森が三遊間を破り二死からファイターズは同点に追いついた。
さらに大嶋の左前安打で再び満塁にすると、宇佐美の三塁ゴロを弾いた藤井が一塁に悪送球して二者生還。ファイターズはこの回に3点を奪って6対4と勝ち越した。
ファイターズは六回表を根本朋久が、七回表を金平将至が危なっかしいながらも無失点で凌ぎ、終盤を迎えるが八回表に登板した河野秀数が佐藤にタイムリーを浴びて1点差に迫られ、九回表にはスリークオーターにフォーム変更中の乾真大が二死までこぎつけるが二死一塁から新田玄気にマウンド後方に二塁内野安打を打たれるが、松本の無理な体勢からの一塁送球がワンバウンドになって赤田が上手く捕球できず弾く間に一塁走者の田中雅彦が三塁に進み、又野知弥に三遊間を破られた。
直前の松本の悪送球でファイターズは4個目の失策。スワローズも3失策で両軍合計7失策。内半数の4個が失点に結びついている。この回で時計の針は午後5時を回る4時間試合。今日6月21日は一年で一番日が長い夏至だったため、ファイターズファンは延長11回突入、5時間試合も覚悟した<苦笑>。
しかし九回裏、スワローズ五番手の阿部健太が二死から森本に左前に運ばれて二死一塁となって冒頭の写真の通り鵜久森がセンターのフェンスを直撃するサヨナラタイムリー二塁打を放ち、ファイターズが7対6とサヨナラ勝ちを決めた。
【21日・ファイターズスタジアム】
Ys 021 100 011 =6
F 021 030 001×=7
Ys)由規、木谷、押本、真田、●阿部-西田
F)中村、武田久、根本、金平、河野、○乾-石川亮
本塁打)松井1号ソロ(中村・3回)
一週間前の雪辱登板としたかったであろう中村は前回同様序盤の失点。首脳陣にアピール出来る投球とは言い難かった。5月のマリーンズ戦、ベイスターズ戦での好投で今度こそ殻を破ったかと期待したが、今月の二度の登板は元に戻った感じだった。雨天中止による登板間隔の空き過ぎも一因だろうが、ローテーションのボーダーライン上の投手にはありがちなことだ。ここは結果を残し続けるしかないのだろう。
一方の鵜久森は降格直後のマリーンズ戦で早速本塁打を放って再昇格への意気込みを見せたが、現地では「何でこういうのを一軍で打てないんだ?」という空気が漂っていたという。中村と違い、もう十年目だ。ファームでの力は首脳陣もファンもわかっている。もちろんファームで結果を出し続けることは肝要だが、一軍では何故打てないのか、それに尽きると思う。降格直前のスワローズ戦の九回裏の打席では相手がルーキーの岩橋慶侍。踏んだ場数なら鵜久森の方が上なのに、鵜久森の方が追い込まれている感じが強かった。
昨年のリーグ最多敗戦記録を更新するほどの弱さはないファイターズだが、今季も7球団で6位と低迷中だ。今日も中村が一方的に失点して無抵抗に敗れるようだったら、「打てんのか?」、「早く引退しないのか?」とのヤジが飛びかねないところだが、反撃も早かった。
ただ、“野球の試合で最も面白いスコアと言われる8対7”に1点ずつ足りないだけなのに面白いという感情がわかなかったのは両軍で7失策という実態だろう。ただ、ファイターズの7得点中、6点が二死走者無しからの得点だったことは評価したい。
ところで、イベントの無かったこの日、土曜日のファイターズスタジアムには1,009人のファンが来場した。
先月の同じくイベントの無かった土曜日に1,022人集まったから、野球だけやっても1,000人は集まるということか。昨年、ファームの本拠地で一試合平均の入場者数が1,000人を超えたのはファイターズ(1,416人)とベイスターズ(1,026人)だけだからファームの試合に1,000人を越すファンが来場するということの意義がわかるだろう。
そして昨年のファイターズはファイターズスタジアムでのファームの公式戦52試合で73,625人を集め、一試合平均は1,416人だった。今日のファイターズは鎌ヶ谷での主催試合31試合目だったが、31試合目での昨年の平均入場者数は1,279人。今年の1,255人と大差ない。
昨年の大型ビジョン設置にプールの営業と、ファームの設備とは思えない見どころの新設がこれでもか、これでもかと繰り出されるイベントと相まってファンのリピーター化に成功しているのだろう。個人的には今日の1,000人程度が最適人数なのだが<笑>球団はそうではあるまい。ただ、イベントが無くても1,000人のファンが集まるというデータを踏まえ、5月5日のこどもの日の様な、多くのファンが集まる日に身内受けのようなネタを持ってくるというミス<!?>だけは注意して欲しい…。
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