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2014年7月20日 (日)

こんな“やっつけオールスターゲーム”はイヤだ!

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四年ぶりに二試合開催となった今年のオールスターゲームは
18日と19日の二日間で予定通り日程を終えた。第1戦のカープ勢の奮闘、第2戦の大谷翔平162km柳田悠岐の豪打などオールスターゲームならではの見どころもあったが、パ・リーグを率いるはずだったゴールデンイーグルスの星野仙一監督が病気療養中で監督休養中のため、代理監督選びに二転三転した手際の悪さから始まり、結果パ・リーグを率いたマリーンズの伊東勤監督が「こんなの球宴じゃない」と発言したそうで、不満に思ったファンも少なくなかった様で…


(写真:昨年のオールスターゲーム第二戦の表彰式 20137月撮影)



冒頭“四年ぶりに二試合開催となった今年のオールスターゲーム”と書いたが、
2011年から昨年までの三年間は復興支援も兼ねて三試合オールスターゲームを行っていた。まだまだ続けるべきだと個人的には思っていたが、たった三年で二試合に戻してしまった。その時点でイヤな予感はしていたが、ただ単に試合数が減っただけでなく、公式戦との間隔を詰めすぎたためか、そのしわ寄せがオールスターゲームにもろに響いたと思う。


パシフィック・リーグを率いたマリーンズの伊東勤監督は、ゴールデンイーグルスの星野仙一監督の体調問題で二転三転の上、監督を要請されて断るに断れなかった様だ。渋々ながら<!?>引き受けた結果が縛りだらけなら「こんなの球宴じゃない」 と叫ぶのも無理はない。



例えば昨年は、


7/17()公式戦
7/18()
7/19()オールスター第一戦(札幌ドーム)
7/20()オールスター第二戦(神宮)
7/21()予備日
7/22()オールスター第三戦(いわき)
7/23()予備日
7/24()公式戦再開


というスケジュールだった。これは近年でオールスターゲームを三試合開催するケースでのシチュエーションでのオーソドックスな日程通りだ。


そして今年だ。


7/16()公式戦
7/17()
7/18()オールスター第一戦(西武ドーム)
7/19()オールスター第二戦(甲子園)
7/20()予備日
7/21(月・祝)公式戦再開


復興支援の第三戦を東北地方の球場で開催すれば、今年は「海の日」の祝日なのでより多くのファンが観戦出来たはずなのだが、復興支援の第三戦が実施されなかったのは本当に残念だ。


ちなみに四年前の日程はこうだった。


7/21()公式戦
7/22()
7/23()オールスター第一戦(ヤフードーム)
7/24()オールスター第二戦(新潟)
7/25()予備日
7/26()
7/27()公式戦再開


同じ二試合制でも今年よりは一日余裕がある。2009年も同様だった。何てことは無い。今年は月曜日が第三月曜日となっていわゆるハッピーマンデーで「海の日」と重なる祝日になったため、もったいないから公式戦を入れたということだろう。だがそれがために、公式戦との間隔が詰まりすぎて、主力投手を派遣する監督から各リーグを指揮する監督に注文が付く事になったと思われる。


今年のオールスターゲームに出場した投手のオールスターゲーム前の直近の登板日を調べてみた。


【パシフィック】

西勇輝 15日6・1/3114
佐藤達也 132/315球 11日2回24
平野佳久 12117球 11115
金子千尋 167116
則本昂大 1631/380
福山博之 15110球 1414球。
岸孝之  158103
五十嵐亮太 15111球 12119
サファテ 15123球 12113
大谷翔平 16593
クロッタ 16114球 13110

【セントラル】
前田健太 128115
一岡竜司 14118球。9113球(ウエスタン)
ミコライオ 161/33球 14114
菅野智之 168132
山口鉄也 161/311球 15119
藤浪晋太郎 159143
大野雄大 117104
福谷浩司 14117球 13118
山井大介 127122
井納翔一 11579
三上朋也 151/319球 14136


先発投手は直近の一登板、救援投手は直近の二登板を記載した。これを見ると、大谷翔平が所属する栗山英樹監督が伊東勤監督からの「第二戦2イニング登板」要請を頑なに断って1イニング限定にさせたのも無理もない様に思える。また、第一戦でセントラルの先発が前田健太だったのは登板間隔的には納得がいくが、パシフィックは先発投手で選ばれた投手の公式戦での登板が15日と16日に集中しており、岸孝之も地元西武ドームでの試合でなかったら先発を快諾していたかどうか疑問な状況だ。各球団、オールスターゲームでの登板を睨んで公式戦の先発ローテーションを組んでいるとは思えないのでこれは偶然だろうが、水面下で伊東監督と各球団との間で相当な駆け引きがあったことがうかがえ、伊東監督の苦労がうかがえる。


では次に上の登板状況にオールスターゲームでの登板を加える。18日が第一戦、19日が第二戦である。


【パシフィック】
西勇輝 15日6・1/3114球→18251
佐藤達也 132/315球→18246
平野
佳久 12117球→1919
金子千尋 167116球→19114
則本昂大 1631/380球→19219
福山博之 15110球→18233球、19222
岸孝之 158103球→18225
五十嵐亮太 15111球→19116
サファテ 15123球→19111
大谷翔平 16593球→19123
クロッタ 16114球→18114

【セントラル】
前田健太 128115球→18日3回41
一岡竜司 14118球(ウエスタン)→181/36球、19115
ミコライオ 161/33球→19117
菅野智之 168132球→19233
山口鉄也 161/311球→1817
藤浪晋太郎 159143球→19238
大野雄大 117104球→18238
福谷浩司 14117球→19日1・1/324
山井大介 127122球→19日1・2/342
井納翔一 11579球→18日1・2/340
三上朋也 151/319球→18118


セントラルは登板間隔の空いている前田健、大野雄大井納翔一で第一戦の七回二死まで三人の投手でまかなったのが大きかった。パシフィックは岸が公式戦登板から中二日で2イニング投げたのを皮切りに四投手が2イニングずつ、唯一直近の16日にも登板したマイケル・クロッタ1イニングを投げて五人で9イニング。


第二戦にはセントラルは第一戦で投げていない五人と1/3回しか投げていない一岡竜司で9イニングをまかないたいところ。単純に計算すると、2イニング投げてくれる投手が三人いれば9イニングをまかなえる。地元先発の藤浪晋太郎と、原辰徳監督の自前と言うことで、中二日になる菅野に2イニング投げてもらい、後は12日に先発して中6日となる山井大介2イニングで計算上は成り立つ。


一方のパシフィックも第一戦で投げていない六人で
9イニングをまかないたいところ。こちらも2イニング投げてくれる投手が三人いればいいのだが、先発型投手で選ばれている大谷翔平、金子千尋、則本昂大はいずれも16日の登板から中二日になる。結局則本が2イニング投げ、他に第一戦で2イニング33球も投げた福山博之が二日間連続で2イニング投げてくれて9イニングをまかなえた。


伊東監督は各球団からの“縛り”をぼやいていたが、第二戦に投手が足りなくなったらホークスの内野手、今宮健太を登板させることを示唆していたほどだ。



なお、公式戦再開となる21日の予告先発投手が発表されたが、オールスターゲームに出場した投手の先発は無かった。


おそらくは大谷だけでなく、金子も2イニング登板はNo!というところだったのだろう。そこで白羽の矢が立ったのが、オールスターゲーム開催直前まで監督問題で揉めたゴールデンイーグルスの投手ということは考えられよう。福山は2イニング登板×二連投となってしまったが、オールスターゲームで一年間で4イニング投げた投手って誰以来だろうか…


個人的には大谷の1イニング限定は仕方なかったと思う。異論はあるかもしれないが、1イニング限定だったからこその全力投球161km、162km連発だったかもしれない。大谷は大谷なりに限られた登板でファンが求めるものを見せようとサービスしたのではないか?ただ、欲を言えば第一戦では打席に立って欲しかった。



また、原監督が一岡を連投させたことも一部で物議を醸している様だが、一軍復帰を目指してウエスタンでの実戦登板を重ねている現状を考えると、カープサイドと原監督の間でイニングまたぎのない程度での連投OKの話し合いが出来ていたのではと思える。


結局のところ、たまたま月曜日が祝日と重なってしまったので公式戦再開日にしてしまったツケが起用法の制約を産んでいるのだろう。そしてそれは21日からの公式戦再開直後にも影響を及ぼすのだろう。21日の予告先発投手にオールスターゲーム出場選手の名はないし、日刊スポーツによると大谷はバファローズ三連戦、三日間を欠場するそうだ。そういうことを何処まで考えて日程を決めているのか?だから“やっつけオールスターゲーム”と書いたのだ。


昨年までは第三月曜日はオールスターゲーム直前の週ということで九連戦の真っ只中。前半最後のかき入れ時と見ていたようで、オールスターゲームは子供たちの夏休み突入のタイミングになっていたが、カレンダーの関係で今年は第三月曜日が15日から21日にずれ込んだのだ。



例えば、同じ二試合制でも金、土の開催でなく、土、日の開催に出来なかったのだろうか?祝日を予備日の設定するのはもったいないという意見も出るだろうが、現状でも日曜日を予備日に設定している。また、第一戦の金曜日は、翌日から三連休という設定を考えると、多くの野球ファンの中には観たくても観られないファンが少なからず存在すると観られ、それならば土、日開催の方が集客も観られることになる。そしてこの場合、オールスターゲーム前の公式戦は木曜日まで。最後は火曜~木曜の三連戦とし、今年のように祝日でない月曜日に無理矢理試合を組んで9連戦にするのを避ける。そして公式戦再開は火曜日でなく、水曜日とする。


2
015年日程<案>

7/16()公式戦
7/17()
7
/18()オールスター第一戦(東京ドーム=予想)
7/19()オールスター第二戦(沖縄=予想)
7/20(月・祝)予備日
7/21()
7
/22()公式戦再開


どうしても日曜日を予備日にするのなら、その代わりにフレッシュオールスターを日曜日に開催する訳にはいかないのだろうか?フレッシュオールスターはオールスターゲームの前座なのかと邪推したくなるくらい、オールスターゲームの第一戦の前日に行うというのが定番のようになっているが、こだわる必要は無いと思う。百歩譲って、今日(20)はイースタン、ウエスタンの公式戦を組んで欲しかった…。昨年11年ぶりにオールスターゲームを生観戦した。スタンドを支配する何とも言えないお祭りムードが心地よく、広尾晃氏がテレビ朝日のオールスター中継は“痛い” と評されていたが、テレビ中継ではなく球場で生観戦すると、「やっぱりオールスターゲームは素晴らしい」が結論になるのだ。 球界の中の人や、ファンの中には価値を高める意味でもオールスターゲームの試合数を減らした方が良いと考える人が少なくない事は察するに難くない。だが、試合数を減らす=希少性を高めることでしか価値を高められないのなら、そんなイベントはやめた方が良いと思うし、どうしても希少性を高めたいなら四年に一度くらいのペースにすればいい<苦笑>


あのスタンドを支配するお祭りムードを一人でも多くのファンに味わってもらうと考えるなら、試合数は東日本で一試合、西日本で一試合、そして復興支援を兼ねて東北地方の開催を追加すればいいと思う。


交流戦の試合数の問題もそうだが、やっつけ日程は早晩ファンに見限られる。そこを見誤らずに試合数、日程を吟味して欲しい。



7月24日追記
オールスター後の再開した公式戦、最初の三連戦が23日に終わった。この三連戦、オールスターに出場した選手の先発登板は一人もなかった。公式戦からオールスターまでの間隔もさることながら、公式戦再開までの日程が短い弊害ではないか…。

 

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受信: 2014年7月21日 (月) 09時11分

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