ファイターズのファームがジャイアンツに勝った!
昨日 (12日)付けの拙blogでも言及したように、ファイターズのファームは今季のイースタン・リーグで対ジャイアンツ戦に8連敗中なのだが、今日(13日)ようやく連敗に終止符を打った。実に4月27日にファイターズスタジアムで15対7で勝利して以来の白星だ。
皮肉なものだ。敗戦処理。が昨日はファイターズスタジアムでファイターズ寄りの立場で三塁側に座ればジャイアンツが勝ち、今日はジャイアンツ球場でジャイアンツ寄りに一塁側に座ったらファイターズが勝った。
(写真:対ジャイアンツ戦8連敗に終止符を打ち、マウンドで勝利を分かち合う、クローザーを務めた金平将至<左端>らファイターズナイン)
どちらのチームも贔屓チームだが、ジャイアンツの本拠地で生観戦するのでジャイアンツベンチの側のスタンドで観戦する。単純にそれだけの発想なのだが、二日続けて肩入れした方の球団が敗れた<苦笑>。
今日のジャイアンツはこの試合に先立ち11:00から山梨学院大学とのプロアマ交流戦を行っていた。山梨学院大学の野球部と言えば、ジャイアンツV9時代の左のエース、後にファイターズに移籍して1981年のリーグ優勝に大きく貢献、引退後は両チームで指導者となり、ジャイアンツでは二軍監督も務め、そして何より敗戦処理。が生まれて初めて直接サインをいただいたプロ野球選手である高橋一三が監督を務めているはずだから、二試合連続で生観戦しようとも考えたが、所用があってイースタン公式戦だけにした。実際には高橋一三は監督を退任していて、元スワローズの投手、伊藤彰が監督を引き継いでいる。
今日のジャイアンツ球場は昨日のファイターズスタジアムと同様に曇り空に覆われていたが、雨に見舞われたのは試合開始前の短時間のみ。8月中旬とは思えぬ涼しさで、観戦は快適だった。昨日と違って梨も団扇も配られず、アニメ声の声優さんもいなかったが、さすがに夏休みのさらにお盆休みの週、いつもなら平日は観客を入れない外野寄りのスタンドを開放。
いっぱいになるという程ではないが、粋な計らいだ。係員さんによると入場者数は1,248人だった。昨日の鎌ヶ谷は1,805人だったが、相当の無料招待券を…以下自粛。
先発はジャイアンツが今村信貴で、ファイターズが木佐貫洋。今村はルーキーイヤーの二年前、このジャイアンツ球場でのファイターズ戦でノーヒットノーランを達成している。また木佐貫はジャイアンツでの最後の年になった2009年、シーズンの大半をファームで過ごし、ジャイアンツのイースタン・リーグ優勝に貢献した。
一回表に今村が渡邉諒、岸里亮佑を連続三振、今日も三番を打つホアン・ミランダを左飛に打ち取る上々の立ち上がりを見せた後、ファイターズの先発、木佐貫は対照的な立ち上がりを見せた。
先頭の松本哲也に中前に運ばれると、極度の打撃不振で今月6日に出場選手登録を抹消された片岡治大が、東京ドームと異なり♪祝福が欲しいのなら~とのBGMが流れない中、右中間に二塁打を放ち、松本哲生還。
あっという間にジャイアンツに先制点を奪われた。しかしこの後、木佐貫は隠善智也、矢野謙次、横川史学のクリーンアップを打ち取って1点止まりに。
ルーキーイヤーの2012年8月30日にこのジャイアンツ球場でファイターズ相手にノーヒットノーランを達成した今村は今日も絶好調。ストレート主体の投球でファイターズ打線を圧倒。一回から三回までの一巡目をパーフェクトに抑え、四回表も渡邉、岸里を打ち取り二死。奪三振は既に5個、ノーヒットノーランの再現も期待出来そうな感じだったが、ミランダにジャストミートされると、打球はあっという間にライト後方のブルペンをも軽々と超える本塁打で同点にされてしまった。
昨日から実戦に復帰したミランダは、昨日は同じ左投手の阿南亨を相手に差し込まれた感じの左飛と三飛。今日も第一打席は左飛とまだまだ本調子でない感じだったが、この打席はタイミングがどんぴしゃりだった。ノルマが二打席なのか、ミランダはこの後の守備から退いた。片岡、ミランダと訳ありで二軍落ちした実力者のバットで1対1。
ミランダがゆっくりとベース一周する間、今村は呆然としていた感じだった。だが、木佐貫同様、今村はこの後を締めた。
その後は、完璧にファイターズ打線をねじ伏せる今村、走者を出しても粘り強く投げる木佐貫という感じで1対1のまま推移。昨日の試合に関して“3点差がいっこうに縮まる気配がない”とファイターズの覇気のなさを嘆いたが、今日はミスが出るか一発が出るかでもしない限りどちらも点が入らないのではないかとも思えた。
ファームの試合では好投していても先発投手は六回くらいまでで降板してそこからは継投に入るパターンが多いが、この試合は七回に入っても両先発投手がそれぞれマウンドに上がった。七回表に今村が石川慎吾、佐藤賢治を連続奪三振、「六番・DH」でスタメン出場の金子誠の代打、赤田将吾を二直と三者凡退に仕留めれば、七回裏の木佐貫は先頭の坂口真規の二遊間のゴロを好捕した二塁手の松本剛のワンバウンドの送球を途中から一塁に入った大嶋匠が弾く失策(記録はおそらく松本の失策だろうけど大島が捕るべき送球)で走者を出し、井野卓の送りバントで一死二塁のピンチを招くが、大累進、松本哲を打ち取って無失点。ともに“らしい”投球だった。
二死二塁での松本哲の三塁後方のファウルフライを追ったファイターズの遊撃手、森本龍弥の動きは味方野手との交錯を恐れぬナイスファイト。判断よくスライディングキャッチでピンチを防いだ。
ボールボーイ、見てないで逃げろ…
今村は八回表もマウンドに上がったが、松本と石川亮にともに三遊間を破られて一死一、二塁のピンチ。勝負機と見たファイターズベンチが大嶋に代打、尾崎匡哉を送ると、ジャイアンツベンチも今村から右投手の香月良太にスイッチ。
いつもファイターズスタジアムの三塁側スタンドで「うぐもり~」等と野太い声で応援するYさんの声は一塁側スタンドまで響いているが、代打尾崎の出番で「♪お、お、おざきまさ~や やさしい君は~」というあの曲も良く響く。夏休みでちびっ子の多い一塁側スタンドでも受けていたが、その尾崎の打球は鋭く三遊間へ。
足を上手く使って正面で抑えた辻東倫だったが、体勢を崩して送球出来ず記録は内野安打。一死満塁。するとYさん、今度は「♪連打連打ぁ~連打連打連打ぁ~」を歌い出す。
期待に応えて岸里が鋭い打球をセンター返し。辻が飛びつくもセンター前に達し、ついにファイターズが1点を勝ち越した。
さらに一死満塁と一気にとどめを刺したいファイターズだったが、途中出場の宇佐美塁大が三ゴロで本塁封殺、石川慎は初球から止めたバットに当たる一ゴロで1点止まり。ファイターズらしいと言えばファイターズらしいが…。
木佐貫も今村同様、八回のマウンドに上がった。先頭の片岡に四球で同点の走者をあっさりと出してしまった。代走に俊足の荻野貴幸。片岡、6日の登録抹消後のイースタンでの打撃成績は10打数3安打。表のファイターズは先頭の松本が出て森本で送ろうとしてバント失敗の捕邪飛だったが、ジャイアンツは隠善に強攻策で遊ゴロ。荻野が二封された。矢野謙次も強攻。こちらは投ゴロで最悪の1-4-3の併殺に倒れた。明暗がはっきり分けられた八回表裏の攻防だった。
九回表、ジャイアンツは三番手に須永英輝を送った。
拙blog 5月19日付須永英輝、ジャイアンツ移籍後初の一軍入りへ! で言及したようにその時点でチーム41試合中の約半数弱の19試合に登板して14回2/3を自責点1に抑えた実績が評価されて移籍四年目にして初となるジャイアンツでの一軍入りを果たすも、移籍後初登板の5月23日の対マリーンズ戦で打者5人と対戦して被安打3で、1/3回で自責点3と散々ですぐに二軍落ちしてしまったが、その後も46試合中15試合目の登板。降格後は11回2/3を自責点0と好調を維持して再度の一軍入りを目指しているのだが、一死から赤田にセンターオーバーのソロ本塁打を打たれてしまう。さらに続く松本にも中前に運ばれると、無念のイニング途中での降板。福田聡志が後続を断ったものの、試合前まで0.23だった須永の防御率は0.68に跳ね上がった…。
九回裏、ファイターズは木佐貫に代えてルーキーサウスポーの金平将至を投入した。
オープン戦の終盤に好投して開幕一軍入りを果たし、開幕戦で初登板を果たした即戦力ルーキーだったが、その後伸び悩んでいる。実は木佐貫が八回まで投げて金平にスイッチというのは、木佐貫の前回登板の6日のマリーンズ戦でもあったが、この時は4対4の同点から金平が2点を奪われ敗戦投手になった。
ジャイアンツは横川に代打和田恋、辻に代打加治前竜一と右の代打を続々ぶつけて層の厚さを見せるが和田恋三ゴロ、加治前三振であっさり二死。坂口が四球を選ぶもこの下位三人目の右の代打となる和田凌太が三振で1対3と敗れた。
【13日・ジャイアンツ球場】
F 000 100 011 =3
G 100 000 000 =1
F)○木佐貫、S金平-石川亮
G)●今村、香月、須永、福田-井野
本塁打)ミランダ1号ソロ(今村・4回)、赤田3号ソロ(須永・九回)
スポンサーの(株)イトーヨーカ堂からの優秀賞は決勝打の岸里に、敢闘賞はジャイアンツで唯一の得点を叩き出した片岡に贈られた。
個人的には木佐貫と今村にあげて欲しかったが…。
今季のファイターズは試合途中までは接戦で期待を抱かせても終盤に力尽きる試合が少なくないが、今日は堂々たる試合ぶりだ。ひとえに木佐貫の好投に尽きると思う。言及した大嶋の捕球ミス、森本のバント失敗、七回までの対今村での工夫のなさなど気になる点はあるが…。
低勝率故、あまりクローザー投入のシチュエーションにならないファイターズのファームだが、今季、ルーキーの白村明弘がクローザーを任せられることが多かったが、その白村が現在一軍。ベテランの武田勝にリリーフ役をやらせている一軍状況を考えると、金平もチャンスだと思う。
一方のジャイアンツは昨日も勝利したとはいえ、二回までで3点を取ってその後は無得点。今日も初回の1点のみ。しかも初回の1点も一番松本哲と片岡の連打で奪ったものだからその後9イニング無得点とも言える。ファイターズ投手陣の踏ん張りもあろうが、攻撃に1点に対する執着心が薄い感じがした。
ただ今村は(昨日先発した阿南にも当てはまるかもしれないが)ファームは卒業に近いレベル。だからといって一軍で先発してコンスタントに勝てる訳ではないが、本気で育てる気があるのなら、中途半端にリリーフ待機とかさせず、先発投手として一軍で必要か、まだそこまでのレベルに達していないかの判断で今はよいと思う。変な例えだが、現状の今村は“二兎を追う者は一兎をも得ず”状態だと思う。林昌範の二の舞は避けて欲しい。
二日間の感想として、贔屓球団同士の対戦であることを考えれば、ロースコアの試合が続くということはどちらも投手、守備にミスが少ない引き締まった野球とも言えるので個人的には楽観視している。
明日(14日)は都合が付かず生観戦を断念するが、四連戦の最後、15日には都合が付けば再びジャイアンツ球場に足を運びたい。
その時、どちらのスタンドに座るべきか!?
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