最近ジャイアンツに関するエントリーが少ない理由
日刊ゲンダイ 9月12日(金)10時26分配信
今年の巨人は、優勝したらいけませんよ。
問題は原監督の采配。今年に限ってはやりたいことが全然分からない。まともな野球をやっていません。電話をかけてもきちっと話ができる律義な男なんだけどね。今のやり方を見ていると、本当に巨人で育った人間なのかと思ってしまう。
理解できないのは打順の組み方です。阿部が4番を打っていると思ったら、ある日は7番を打ったり8番を打ったり。村田にしてもそう。5月に急にキューバからやってきたセペダに、いきなり4番を打たせるなんて考えられません。阿部も気分が乗らなかったでしょう。「何でオレが7番なんだ」と文句を言ったらいい。去年の楽天は4番のジョーンズ、5番のマギー(退団)を固定して日本一になった。今年の原監督には、オレだったらこれでいく、というブレない形や信念が見えないんですよ。
4番というのは4番を打つ資格のある人が打つもの。阿部や村田が原監督のお眼鏡にかなわないというのなら、「4番を打てないなら辞めなさい」と言うべき。それなら分かる。7番でも8番でも使うというのは、昔の巨人にはなかった。4番は、打てなくなったら辞める。長嶋も王もそうでした。
そういう教育が今の巨人にはない。巨人魂というか、伝統が消えてしまったと感じる。4番がダメなら7番、8番を打てばいいというなら、ユニホームを脱がなくていいから楽ですよ。他球団は良くも悪くも巨人の真似をする。原監督にはそういうことも考えてやってほしいですね。
少々長いが引用させていただいた。
広岡達朗氏の言い分を聞いて、敗戦処理。がもやもやしている理由がわかったような気がした。ジャイアンツに優勝して欲しい気持ちはもちろん他のジャイアンツファンの皆さんと変わりないのだが、勝ち方に素直に喜べないのである。
広岡は監督としてスワローズとライオンズを優勝させた。どちらのチームも広岡が監督に就任するまではとても優勝を狙える状態ではなかった。選手の食生活など私生活にまで管理を徹底する管理野球が特徴だ。もちろん現役時代はジャイアンツの遊撃手だったスター選手。しかし歯に衣を着せぬ性格で、川上哲治監督の反感を買い、晩節を汚したと言われている。スワローズ、ライオンズでも優勝監督ながら円満退団とは言えなかったのだが、ジャイアンツも王貞治監督の後任候補として正式に監督就任要請をしたそうだが、広岡の方が拒否した、と広岡本人が語っている。広岡にしてみれば「王を替えるという発想がおかしい」という理由だった。
広岡はライオンズ時代、主砲の田淵幸一を四番以外の打順で起用しなかったという。これは評論家になってから自分で言っている。敗戦処理。も検証したわけではないが、言われてみれば四番以外の田淵を見た記憶はない。まだ清原和博は入団していなかったが、テリー・ウイットフィールドや大田卓司と代わりの四番候補はいたものの、上の記事中にもあるように、四番を打てる状態でないときには打順を下げるのではなく、スターティングメンバーから外したというのである。ただ、広岡のこの種の話には、もう一つ、本人が流布する、四番を打つ田淵にバントのサインなど出さないと言う話は眉唾だ。確かに田淵という選手はタイガース、ライオンズを通じて現役生活で犠打0の選手なのだが、(公式戦ではない)前後期制のプレーオフで広岡監督によって送りバントを命じられている。へっぴり腰気味で恐る恐るバントした打球がバックネット方向に飛ぶファウルになると、次の投球からバントのサインを強攻策に変えたため記録上送りバントが残っていないだけである。話半分と受け取った方が良いかもと思う<笑>。
敗戦処理。は個人的には四番打者に送りバントをさせたり、代打を送ってみたり、成績が悪いからと言って七番や八番を打たせる野球を好きにはなれない。
広岡の“四番打者観”には共感出来る部分も多い。しかし、広岡が言っていることは歴史と伝統に裏付けされたジャイアンツの常勝のための守らなければならない掟ではないと思う。
ジャイアンツは常に優勝を目指し、優勝をしなければならない球団だと、自分達で思っている。それが流布されて、ファンもその前提で見ている。そして事実、常勝と言って良い頻度で優勝を繰り返してきた歴史がある。それが出来ない指揮官は長嶋茂雄だろうと王であろうと解雇される。2003年から2006年までの四年間連続して優勝出来ない期間があったが、それまでの約70年間では三年続けて優勝出来ないのが最長だった。
だが、だからといって広岡が言うような縛りがジャイアンツにあるとは思えない。広岡には広岡の野球観があるだろうが、原辰徳監督は優勝という最優先の目標達成のために、最も確実な方法として(広岡だけではなく、敗戦処理。にも受け入れがたいが)主力選手だろうが調子が悪ければ下位を打たせたり、投手でも早め早めの交代を強いるのだろう。それが原監督流の野球なのだろう。
そして、ジャイアンツファンの多くが、過程よりも優勝という結果を求めてジャイアンツを応援しているのであれば、原監督は顧客を満足させる監督ということになるのだろう。
だが個人的には「そんなことをやらなくても勝てるだろう!?」というのが敗戦処理。のもやもやなのである。敗戦処理。が嫌う野球の一つとして“選手を将棋の駒のように扱う野球”という表現を時に用いるが、選手が積み重ねてきた実績を軽視するかのような扱いはやはり容認できないのだ。原監督自体、現役の晩年に試合前にいつものようにシートノックを受けようとして三塁の守備位置に行ったら、そこに広沢克己がいるのに気付いて、黙って守備位置を一塁に変えたことがあるという。広沢は一塁と外野を守る選手だが、三塁はいわば付け焼き刃。そんな選手と一緒にシートノックを受けさせられることに我慢ならなかったのだろう。でも今、阿部慎之助や村田修一にさせていることは自分が現役の晩年に受けたことと変わりないのではないか?
新しい四番打者が誕生する度に「第○○代四番打者」と称するのは十二球団でジャイアンツだけ。かつて原監督自身「聖域」と例えたこともあった。今年はその聖域にいきなりキューバの至宝、フレデリック・セペダを据えた。もっともこの抜擢は原監督の意思ではなく、NPBとは別の独自のルートでキューバの野球界とのパイプを築いた巨人軍という球団のキューバ球界への“誠意”であるという見方も強いが、セペダの抜擢や、広岡発言はともかくとしても四番経験者を七番、八番に据える野球はかつての仰木彬監督やボビー・バレンタイン監督の「猫の目打線」とは風合いが異なることは多くの野球ファンが感じているのではないか?そんなことをしなくても、ジャイアンツは優勝出来るはずだと思うが…。
一時期、今年のジャイアンツは優勝してもMVPが出ないのではないかと言われていた。勝ち頭の菅野智之が故障で離脱したため、シーズンを通して他を凌駕して抜きんでた活躍をしている選手がいないからである。こういうシーズンこそ山口鉄也にスポットライトをとも思うが、残念ながら山口はここ何年間かでは悪い方の成績。昨年のスワローズのウラディミール・バレンティンの様な活躍の選手が他球団にいたら、二年連続で優勝チーム以外からMVPが出るという少なくともセ・リーグでは初の珍事になるところだ。
このまま優勝すれば、言葉は悪いが“消去法”的に菅野がMVPになるだろうけど、原監督の推し進める野球の結果は優勝チームからMVPが出ないスタイルの野球と言うことになるのかもしれない。
敗戦処理。はいわばオールドタイプのジャイアンツファンだと自覚している。ジャイアンツには球界随一の歴史と伝統に裏付けられた、ジャイアンツという看板に見合った横綱相撲で優勝して欲しいのである。横綱の相手が奇襲を仕掛けるならわかるが、横綱自ら奇襲を仕掛ける相撲を見て喜ぶ人は少ないだろう…。
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