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2014年11月15日 (土)

異論はあるだろうけど、侍ジャパンのMLBオールスターに対するノーヒットノーランを賞賛しよう!!

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個人的におそらく今年最後の生観戦になるであろう今日の日米野球第3戦で、良いものを観ることが出来た。侍ジャパンが、則本昂大、西勇輝、牧田和久、西野勇士の四投手による継投でMLBオールスターチーム相手にノーヒットノーランを達成した。


当初よりこの大会を強化試合と言うより親善試合じゃないかと疑問視していた敗戦処理。であるが、だからといってこのノーヒットノーランという金字塔の価値が減じるものではない。ベストメンバーではないとか、本当に本気で闘っていないとかいう声があるのは承知。しかし、安打の一本も打てないのでは完敗でしょ!



(写真上:試合終了の瞬間のスコアボード。MLB打線の安打数は0。写真下:ノーヒットノーラン継投を果たした四投手揃ってのヒーローインタビュー。左から西野勇士、牧田和久、西勇輝、則本昂大)



敗戦処理。がこの大会を“強化試合と言うより親善試合じゃないかと疑問視”と言う理由は拙
blog33日付エントリー日米野球今秋8年ぶり復活の怪-“マー君vs侍ジャパン”とは笑止千万!?10月13日付エントリー和田毅、MLBオールスターチーム選出からうかがえる日米野球の本気度と「侍ジャパン」ビジネスへの暗雲。 で書いた通り。昨夜の第2戦で先発した岩隈久志和田毅はWBCでは日本代表の候補になるべき選手。侍ジャパンの一員に加わるなら理解出来るが、MLBオールスターの一員に名を連ねると言うことは結局、2006年まで行われていた日米野球と大差ないと思ったからだ。


もっとも見方を変えれば、侍ジャパンが挑戦する相手としてはUSA選抜よりMLB選抜にした方が歯ごたえのある選手が集まるだろうから、WBCでも来年の今頃行われる予定らしいプレミア12では対戦するはずのないMLB選抜というチームと対戦するのも悪くない。だがそれであっても日本人メジャーリーガーがMLBオールスターに名を連ねるのはどうも合点がいかない。敗戦処理。はサッカーには疎いのだが、サッカーの日本代表の強化試合でこういうことはあるのだろうか?


そしてアジアシリーズが開催出来ず中止になり、五輪での競技再開という話もどこまで実現性があるのかわからず、来年の今頃に第1回大会を行う予定のプレミア12も不透明という中で、侍ジャパンを常設化する必要があるのかという疑問を持つ野球ファンも少なくないだろう。侍ジャパンの存在意義が、NPBとしては財源を確保するためのツールだというのが本音であることは野球ファンもそろそろ気が付いていることだろう。ましてや、敗戦処理。のように、何だかんだ文句を言いながらも法外な値段のチケットを買うカモがいるのだから、日米野球を復活させない手はない。実際、かつて隔年で読売新聞社と毎日新聞社が交互に主催していた日米野球は常に黒字だった。2006年を最後に開催されなくなった理由は収益面ではなく、当時アジアシリーズが始まり、WBCも春先とは言え行われるので、11月に親善試合モード満開の日米野球を行うことに日本プロ野球選手会が強硬に反対したからだ。


それで八年ぶりの日米野球、敗戦処理。にとっては十年ぶりに生観戦となる日米野球生観戦。何だかんだ言って、初めて日米野球を生観戦した
1974年以後、1990年、1996年、1998年、2000年、2002年、2004年とちょくちょく日米野球を生観戦しているのだ。


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試合が動いたのは二回裏、日系四世だというMLBオールスターの先発、ジェレミー・ガスリーから侍ジャパンの四番の中田翔が左翼線に二塁打を放ち、攻撃の口火を切る。
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侍ジャパン、先制のチャンス、とここで敗戦処理。の席の周りがにわかに騒がしくなった。何事かと思ったら、MLBオールスターとともに来日しているヒューストン・アストロズのマスコット、オービットが観客席に来ていた。
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しかもこんな近くに!どさくさに紛れて握手してもらったりしていたら、坂本勇人の先制本塁打をカメラに収めることが出来なかった
<苦笑>


侍ジャパンの先発、ゴールデンイーグルスの則本昂大はスタンドで観ていて、速い球をビシビシ低めに決めていた印象。
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捕手がチームメートの嶋基宏だったので息が合っていたのはもちろんのこと、ウインタース球審とも、まるで“ジャンパイア”ならぬ“ジャパンパイア”なのかとスタンドからだと思えるほど息が合っていた。結果、5イニングで6奪三振だったが、印象としてはもっと多く三振を奪っていた感じだった。


侍ジャパンは、二回に先制点のきっかけとなる二塁打を放った中田が松田宣浩を一塁に置いて、打った瞬間にわかるレフトオーバーの2点本塁打。
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Twitterでは「中田翔は私が育てた」、「さすが、俺が育てた中田翔」と言っている敗戦処理。としては、日本シリーズ、オールスターに続いて大舞台での「四番・中田翔」を堪能出来て感無量である。大田泰示も続いて欲しい(筒香嘉智はもう選ばれているぞ!)


則本がMLBオールスター打線を5回までパーフェクトに抑えたので、「いっそのこと完全試合でぐうの音も出ないようにしてやれ!」と思ったら、二番手の西勇輝が先頭のルーカス・デューダに四球を出し、完全試合は夢に。
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西が2イニングで四球を出しながらも無安打無失点に切り抜ける。個人的にはこのあたりから興味は侍ジャパンがMLBオールスターをノーヒットノーランに抑えられるかに絞られてきた。普通、勝敗を第一に考えれば、4点リードの中盤、四球で走者を出すのはタブーのはずだが、完全試合が無くなった今、ノーヒットノーランのためには四球はやむなしと考えて観ていた。


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だが、残念なことに西から死球を受けたロビンソン・カノが右足小指骨折と判明したそうだ。全治三、四週間ということで当然残りの試合は欠場。


西で思い出したが、侍ジャパンの内野守備走塁コーチ、仁志敏久が試合前のシートノックを担当。
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現役引退後、コーチ経験のない仁志、締めのキャッチャーフライは失敗を繰り返し、苦笑いのまま終了してしまった<笑>。



八回表のマウンドに上がった牧田和久もノーヒットノーランを意識していたのか、アンダースロー故に左打者にはかなり慎重になっていた。
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“君子危うきに近寄らず”ではないが、左打者との勝負を避けた感じもあって二つの四球を出しながら無安打、無失点に切り抜けた。


八回裏、一死を取ったところで四番手のフランクリン・モラレスが登板し、その投球練習の間にMLBオールスターの内野手とレイン二塁塁審が何か話している。Cdsc_0254
ったい何を話しているのか?試合中に選手と審判員が会話するとしたら、判定に対する確認くらい。この場面で何を話すのだろうか?


もちろん、これがWBCの本番だったら、当該対戦カードの国の審判員が試合を裁くことはないだろうが、今回の日米野球、最後に20日に沖縄で行われる試合が「親善試合」と謳っているということは、この試合を含め、他の試合は真剣勝負なはずなのである。事実、第1戦から第5戦までは勝ったチームに賞金1千万円が進呈される。こういうところ、NPB、侍ジャパンの真剣度とMLBとの温度差なのだろう。だからこそ、ノーヒットノーランを食らうのだろう<苦笑>


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試合開始直前であっても、ファンサービスに努めるデクスター・ファウラーの姿勢には感心したが、先入観もあるのだろうが審判と話しているシーンに、MLBの非本気さが垣間見られたようだ。


九回は観ていて本当にドキドキした。公式戦ではない、MLB選抜といってもベストメンバーではない、親善試合みたいなもの、とわかっていてもドキドキする。
マウンドにはライオンズの高橋朋己とともに侍ジャパンのクローザーを担うマリーンズの西野勇士
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先頭の、カノの代走で二塁に入っているホセ・アルトゥーベ。今季のアメリカン・リーグの首位打者。身長
168cmで的の小さい相手。うかつにストライクを取りに行くと狙われそうな感じで、案の定粘られたが三振に斬った。


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一死から、途中出場のカルロス・サンタナに捉えられた打球は初安打かと思われたが、二塁手の菊池涼介が逆シングルでさばいた。最後は四番のジャスティン・モーノーを一塁ゴロに打ち取り、侍ジャパンは四投手によるノーヒットノーランを達成した。



再三書いているように、このノーヒットノーランという結果を額面通りに受け取って良いのか、異論のある人もいるだろう。しかし、MLBがこの大会にベストメンバーを組んでいないとしても、それはMLBの都合に過ぎない訳で、完敗、それも1本の安打も打てないというのは言い訳の通じない完敗である。


自組織のマーケティング戦略上は国際化とかいって他国(もちろん日本も含む)の市場から選手を獲得するなどする一方で、野球というスポーツの真の国際化を担うべく意義のある五輪には、レギュラーシーズンから主力選手が抜けると、莫大な金額を払ってくれるメディアに顔向けが出来ないからベストメンバーで望めないなど、大所高所に立った国際戦略に非協力なMLBに考え方を改めさせるには、こうした大会で屈辱を味わってもらうのが一番なのだ。WBCもまた然り。MLB、USAが本気で望まなかったからといって、その大会で№1になることは紛れもなく「世界一」なのだ。侍ジャパンは今日の金字塔を誇りに思うべきだ。


もちろん長い日米野球史において、日本代表がアメリカのチーム相手にノーヒットノーランを達成したのは史上初だ。




P.S.
【今日のオマケ】
ノーヒットノーラン達成の瞬間をカメラに収めようと思ったが…
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最後が一塁ゴロで終わるという、シャッターチャンス的にはオイシイ場面だっただけに


残念…

 

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