ダルビッシュ有VS田中将大-最後の投げ合いに東京ドームは満員札止め!【回想】敗戦処理。生観戦録-第40回 2011年(平成23年)編
毎月2日、昨年2月にスタートしたマイセレクトベストナインを偶数月に、
敗戦処理。が生観戦したプロ野球- my only one game of each yearを奇数月の2日に掲載しています。今月は敗戦処理。が生観戦したプロ野球- my only one game of each yearの月。
1974年(昭和49年)に初めてプロ野球を生観戦した敗戦処理。はその後毎年、途切れることなく数試合から十数試合を生観戦しています。そこで一年単位にその年の生観戦で最も印象に残っている試合を選び出し、その試合の感想をあらためて書いていきたいと思います。年齢不詳の敗戦処理。ですが同年代の日本の野球ファンの方に「そういえば、あんな試合があったな」と懐かしんでもらえれば幸いです。
【回想】敗戦処理。生観戦録- my only one game of each
year第40回 2011年(平成23年)編
(写真:マウンド上で打球の方向を見るダルビッシュ有と、ベンチ前で投球練習をする田中将大。この写真三度目の使用! 2011年7月20日撮影)
今にして思えば、この試合を生観戦出来て、本当に良かったと思う。金田正一さんや稲尾和久さんの現役時代をリアルタイムに観ていない世代の敗戦処理。にとって、ダルビッシュ有と田中将大はリアルタイムに観ることが出来たレジェンドであり、その二人が投げ合う、結果的に現時点では最後の直接対決を観ることが出来たのだから…。
2011年。ダルビッシュのポスティング移籍の噂は毎年のように出ていた。新聞休刊日ごとに、駅売りの売り上げを伸ばしたいスポーツ紙がぶち上げている感もあった。だが、この年もファイターズでプレイしているのは、サエコ夫人との離婚協議が足枷になっているだけとも報じられ、この年がファイターズのユニフォームを着て投げる最後の年になる予感はあった。
東日本大震災の影響で公式戦の開幕が遅れたこの年、東京ドームでのファイターズ戦を楽しみにしている敗戦処理。にとっては開幕二カード目に組まれていた東京ドームでのファイターズ対バファローズ三連戦が中止になり、札幌ドーム開催に振り替えられる打撃を受けた。この三連戦にはこの年の話題のルーキー、斎藤佑樹の先発も予想されていた…。だが、三ヶ月半待たされた東京ドーム主催試合でビッグなプレゼントが待っていた。
両投手のローテーションから、このカードで直接対決が実現しそうなことは徐々に確信出来るほどになっていたが、前日に予告先発が発表されると、東京ドームから大歓声が沸いたのを覚えている。
予告先発効果か、当日は44,826人のファンが入場し、試合開始直後に当日券が売り切れた。ファイターズの試合ではなかなか開けない内野二階席をスポンサー企業が買い占めていたというのも大きかったが、そのチケットも当日が近づくにつれてプラチナペーパーになったに違いない。敗戦処理。の席から見渡した範囲では二階席もかなり埋まっていた。
今季、十二球団最多の観客動員を誇ったジャイアンツの一試合平均の入場者数が41,921人(東京ドーム以外を含む)だから、いかに多いかがわかる。
ゴールデンイーグルス
(中)聖沢諒
(二)内村賢介
(一)草野大輔
(指)山崎武司
(三)高須洋介
(遊)松井稼頭央
(左)横川史学
(右)鉄平
(捕)伊志嶺忠
(投)田中将大
ファイターズ
(指)スケールズ
(右)陽岱鋼
(中)糸井嘉男
(左)中田翔
(一)稲葉篤紀
(三)小谷野栄一
(二)今浪隆博
(遊)金子誠
(捕)大野奨太
(投)ダルビッシュ有
試合はゴールデンイーグルスが先制した。
二回表、四番の山崎武司が一塁線を破る二塁打で出ると、一死から松井稼頭央、横川史学が連続安打で山崎を還す。早くも1点を先制した。この1点のみで試合は膠着した感じになったが、ファイターズが四回裏、田中の隙を突いた。
先頭の糸井嘉男がストレートの四球で出ると、田中の牽制悪送球があって二塁へ。ここですかさず、四番の中田翔がセンター前に運び、糸井が還って1対1の同点。
この年の中田はシーズン途中から小谷野栄一に代わって四番に抜擢された。シーズン終盤には四番を外されるのだが、翌年、監督が梨田昌孝から栗山英樹に替わって全試合四番で起用されるが、その下地を作ったシーズンと言えよう。
そして田中の動揺が収まらない中、続く稲葉篤紀がライトスタンドに打った瞬間にわかる勝ち越しの本塁打。あっという間に3対1とファイターズが逆転した。
田中にとっても、何が何だかわからない間の出来事だったのではないか。そして両投手ともこの後はしっかりと抑え、試合は3対1のまま終了した。
【2011年7月20日・東京ドーム】
モ 010 000 000 =1
F 000 300 00× =3
モ)●田中-伊志嶺
F)○ダルビッシュ-大野
本塁打)稲葉7号2ラン(田中・4回)
二人のテンポの良い投手戦で、試合は2時間23分で終了した。ダルビッシュも田中も完投したが、投手だけでなく、両軍ともスターティングメンバーの10人から交代無し。選手の交代がないから試合中に監督がベンチから出てくるシーンもなく、稲葉の本塁打直後にゴールデンイーグルスの佐藤義則投手コーチがマウンドにアドバイスに来ただけだった。
高校野球であるような、エースのワンマンチーム同士の対戦を観ている感じだった。ヒーローインタビューはダルビッシュと稲葉の二人だったが、感覚的には主役はダルビッシュと田中で、稲葉も中田も完全に脇役だった。
エースとエースの投げ合い。本当に良い試合を観ることが出来た。田中がダルビッシュを追うように大リーグに移籍したので、今度はMLBでこの両投手が投げ合う機会が来るかもしれない。それはそれで楽しみで、そうなったら中継を録画して観たい。稀代の好投手の投げ合い。奇しくもこの両投手の2007年の初対決も東京ドームで、国内最後の対決も東京ドームだった。おそらく偶然の賜だが、東京ドームに思い入れの深い一ファンとして、その偶然に感謝したい。
P.S.
本連載は初めて日本のプロ野球を生観戦した1974年から始めて、今回の2011年編で昨年までの分はすべて掲載となった(2012年編、2013年編はそれぞれの翌年の1月に掲載)。今年、2014年編は来年1月2日に掲載する予定だが、以後はその年の最も印象深い生観戦を翌年の1月2日に掲載することにする。
【参考資料】
「2012ベースボール・レコードブック」ベースボール・マガジン社
【参考エントリー】
拙blog2011年7月20日付オールスターより凄い対決!
拙blog2014年1月25日付「マー君、あと二年したらダルビッシュみたいになれるかな」
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