田中賢介が三年ぶりにファイターズに復帰
長年チームを支えてきた稲葉篤紀、金子誠の両ベテランが2014年限りで現役引退したファイターズ。そこから大引啓次、小谷野栄一がFAで流出。内野が一組そっくり抜けた形になった。この時点で内野手最年長の飯山裕志と、その次に内野手で年長に当たる中島卓也とは11年の開きがあった。これはチーム編成上、異常な状態だと思う。飯山は最年長だがレギュラーではない。育成重視で若手を大胆に抜擢するチームカラーとはいえ、アンバランスなのは素人目にも明らかだ。
そこに、このチームで育った日本人メジャーリーガーが志半ばにしてアメリカから帰ってくる。アンバランス解消の起死回生の存在になるかもしれないとファイターズが飛びつくのもわかる。本当に田中が必要ならば、今季途中に田中がフリーになった時点で球団として助け船を出しても良かったはずだ。だがファイターズが田中に食指を動かしたのは、大引、小谷野の離脱がはっきりした後と見て間違いあるまい。
このオフ、田中の他に松坂大輔、中島裕之といった日本人メジャーリーガーが日本球界に復帰した。川崎宗則、黒田博樹も日本球界復帰の可能性を残している。田中は日本球界出身選手では成功例の少ない野手。この結果を想像していたファンも少なくないだろう。その点では案の定という感じの結果だが、実は日本人メジャーリーガーが日本球界に復帰するケースでは田中のように古巣球団に復帰するケースは極めて稀だ。出戻り日本人メジャーリーガーの多くは古巣ではない球団に所属する。古巣の球団に戻ったのは他に柏田貴史、田口壮、石井一久、薮田安彦くらいではないだろうか。
そんな田中だが、敗戦処理。の個人的な予想では、守り慣れた二塁手のポジションを託されるだろうが、打順は以前の一番ではなく、二番に座ると思っている。
(右)西川遥輝
(二)田中賢介
(中)陽岱鋼
(一)中田翔
(指)大谷翔平
(三)レアード
(左)ハーミッダ
(捕)大野奨太
(遊)中島卓也
復帰会見で田中は「ポジションにこだわりはない…」旨を語っていたが、西川遥輝が外野に回ってから安定感を見せたことを考えると、ライトから動かしたくない。今季主に二塁を守っていた中島卓也には大引が抜けたショートに回ってもらい、田中は守り慣れた二塁に入るのが自然だろう。これで、大引が抜けた穴が埋まるように形の上では思える。
田中の夢が破れたことを別にすれば、ファイターズ的には田中の復帰は大歓迎といったところだろう。だが、三年ぶりの復帰ということは、かつて所属していた時期から三歳年齢を重ねているということだ。そして昨年は無所属の時期が長かった。多くの出戻り日本人メジャーリーガーが、メジャーリーグ移籍前の輝きを取り戻せないケースが多いことを考えると、ファイターズファンがイメージする田中賢介が戻ってくる、と初めから決めつけない方が良いのかもしれない。
育成重視はファイターズの屋台骨だが、その結果としての構成上のアンバランスを生じさせたのだとしたら、田中賢介復帰は構成上のアンバランスを隠すための“補強”であり、しかもファンに最も受け入れられやすい選手の復帰だったため、都合の悪いことを隠蔽するには今のところ最高の結果となっている。だが、普通に考えてFA権を獲得した選手が次々と移籍を選択する球団というのはやはり何処かおかしいと考えるのが自然だろう。初めに予算ありきのチーム編成なのはわかるが、ダルビッシュ有と糸井嘉男以外はチームの財政を圧迫する可能性があるとは思えない。小谷野に至っては人的補償が適用されない11位以下の年俸だ。
今回の田中獲得で、田中自身が好成績を残すだけでなく、チームの精神的支柱となってチームの課題を丸く収めたとしても、同じ問題は数年後に繰り返されるということをファンは覚悟する必要があるだろう。田中がチームを引っ張っている間に、チームにも考え直して欲しいものだが…。
冒頭の写真は入団二年目の田中賢介が一軍入りをアピールする一打となった2001年の春のオープン戦でのものだ。二枚目の写真は大きなアピールとなった本塁打の場面だ。見事に開幕一軍入りを果たし、開幕戦でも故障した片岡篤史の後に入って大塚晶文から本塁打を放って大器の片鱗を見せたが、この後長く伸び悩む。その伸び悩んだファームの時期を見ていた身としては、大リーグで活躍出来なかった無念さに複雑な心境なのも事実だが、田中賢介がまた戻ってきてくれたことに感謝したい。
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コメント
jiRo様、コメントをありがとうございます。
> 自分は5番でもいいかな、と…
無死から中田が歩いたら送れるし、1番の役割もできるし、何より打線の真ん中にこういうバッターがいたら嫌かな、と思います。
なるほど。五番というのは思いつかなかったですね。
それもこれも、少なくとも賢介が渡米前のレベルにあるという前提ですよね。
エントリーでは“五番・大谷”としておきましたが、二刀流との兼ね合いでフル出場は出来ない。それを考えれば…。
中田の後ろに稲葉がいたことの意義が来季浮き彫りにされるかもしれませんね。
貫禄で賢介が活躍してくれることを望みます。
投稿: 敗戦処理。 | 2014年12月23日 (火) 11時33分
復帰は嬉しいですが、ポジション争いを(貫禄で?)勝ち抜いてほしいです。
自分は5番でもいいかな、と…
無死から中田が歩いたら送れるし、1番の役割もできるし、何より打線の真ん中にこういうバッターがいたら嫌かな、と思います。
投稿: jiRo | 2014年12月22日 (月) 20時48分