東京野球ブックフェア
新刊本のコーナーではツイッターの野球大喜利などでおなじみの漫画家のカネシゲタカシさんに長蛇の列。カネシゲさんのブースには常に長蛇の列。その場で本を買えばサインやイラストを描いてもらえるし、購入済みの書籍を持ち込んでも描いてくださるようだ。他にも「4522敗の記憶」(双葉社)などの村瀬秀信さん、決して贔屓の引き倒しにならないカープ本を数々著している堀治喜さん、最近ちょっとお騒がせにもなったものの、有名な野球ブロガーの第一人者広尾晃さんらこのフェアの常連さんに、今回は春夏の高校野球の甲子園でネット裏のど真ん中にいていつもテレビ中継に写っているラガーさんの姿があった。驚くなかれ、ラガーさんグッズも発売されていた。
今回のレア品は、記録の神様といわれた宇佐美徹也氏によってまとめられていた「プロ野球データブック」を、その後独力で追加、更新された篠浦孝さんの「プロ野球データブック(改)2015」。
広尾さんと自称・宇佐美徹也氏の最後の薫陶を受けた直弟子、牧啓夫さんにその場で薦められ、買わない訳にはいかない、いや、記録好きの敗戦処理。には垂涎の一冊。迷わず購入。
もうひとつ、7人の審判員にスポットを当てた「審判様々っ!!」(Over EAU Ball)
山村達也、友寄正人といったベテラン審判員から敗戦処理。もお気に入りの村山太朗審判員といった若手まで。もう少しボリュームが欲しいところだが…。
また、昨年までドラゴンズでプレーしていた小田幸平元捕手が登場。一昨年出版した『ODA52 15年以上、プロで生き残った2番手捕手の竜儀』(洋泉社)の即売、即席サイン会を行っていたので敗戦処理。も一冊購入。サインをいただいた。
この種のイベントでは不思議とジャイアンツファンと一目でわかるスタイルの人が少ないので、敗戦処理。はジャイアンツの黒のグラウンドコートを着て行ったのだが小田さんにはジャイアンツ時代の一郡に上がるかどうかの頃に応援していた旨を打ち明け、サインをもらう際に46を添えてほしい旨を伝えたが、「中日時代に書いた本なので…」と申し訳なさそうに断られた。因みにドラゴンズ時代の背番号52も、当日の日付もないシンプルなサインだった。
サインといえば、堀治喜さんは新著『黒田博樹 男気の証明』(オークラ出版)に‶敗戦処理さんへ″と添えてくださった。
昨年、「広島野球ブックフェア」を立ち上げ、7月に旧広島市民球状跡地で開催。開催のための手続き、自治体への根回しなどの大半をほとんど独力でなされた方だ。
カープ関連の著書では『衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?』(文工舎新書)『「マツダ商店(広島東洋カープ)」はなぜ赤字にならないのか?』(文工舎) 等がある。タイトルからして著者の球団へのスタンスが理解出来よう。それでいて敗戦処理。のような誰憚ることなくジャイアンツファン(ファイターズファン)と表明している者にも気さくに声をかけてくださる。このフェアはせいぜい年に一回だが、そのたびにいろいろと話をしてくださる。私もさすがに‶敗戦処理さんへ″とサインをいただいたのは初めてだ。
イベント関連では、広尾晃さんが主催したブロガーミーティングなるものをのぞいてみた。広尾さんが、野球ブロガー、野球ブログの可能性について言及。既存のマスメディアにはないパワーをファンによるブログに期待している様だ。また、広尾さんの呼びかけに集まった野球ブロガーさん達が何人か自己紹介をしていた。
‶ブログを書く人=ブロガー″、‶野球に関するブログを書いている人=野球ブロガー″という定義で考えれば、敗戦処理。もブロガーの一人であり、野球ブロガーの一人である。しかし敗戦処理。は自ら自分のことを‶ブロガー″と称したことは一度もないし、今後もないだろう。「何故?」と問われると明確に答えられないが…。
近著『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた! ~涙と笑いの球界興亡クロニクル~』(集英社)が話題を呼んだ長谷川晶一さんはライオンズ球団の太平洋クラブライオンズ・クラウンライターライオンズ時代にスポットを当てた新著の発売を6月に控えており、その取材で協力を得た当時の球団代表、坂井保之氏とのトークショーを行った。
敗戦処理。が坂井保之さんの話を聞くのは、球界再編騒動の最中だった2004年の夏以来。その時にはタイムリーな話を期待したが期待外れだった記憶があるが、この日は坂井さんの著書数冊を読んでいる敗戦処理。にも初めてのエピソードが実名入りで次々と出てきた。長谷川さんが上手く引き出しを開けたというのもあろう。
このフェアでは毎回何らかの仕掛けを持ってくるスージー鈴木さんは石黒謙吾さんとともに懐かしの野球映像を流して選手やプレーをいじる「野球レア映像、愛のいじり合いトーク」という企画で出演。‶新庄剛志の敬遠球サヨナラ安打″、‶SHINJOのオールスターゲームでのホームスチール″、‶カズ山本、古巣福岡ドームのオールスターでの涙の代打本塁打″等のシーンを観ながらトークするもの。
1996年、前年に福岡ダイエーホークスから戦力外通告を受けたカズ山本(山本和範)は以前に所属した近鉄バファローズに拾われて活躍。オールスターにはファン投票で選ばれる。場所は昨年までの本拠地福岡ドーム。代打に起用されて見事に代打本塁打。お立ち台では感極まる…というあの名シーンだ。いささか残念なのは、このシーンが取り上げられる時に、山本が誰の代打で起用されたかという重要なポイントがスルーされがちなことで、この日もスージーさんからも石黒さんからも言及がなかった。山本は小久保裕紀の代打として出場したのだが、通常、オールスターでは地元球団の選手に代打を送ることはしないものだ。当日のテレビ中継で解説している西本幸雄さんはそのことに触れていた。そんな禁じ手を平気で行ったオール・パシフィックの監督は仰木彬監督。さすがだ!この翌日、仰木監督は「投手イチロー」というもっと凄い禁じ手を用いたのでそのことばかりが議論されたが、小久保に代打山本という起用、采配も英断だったといえよう。
スージー鈴木さんはツイッターで敗戦処理。をフォローしてくださっていて相互フォローの関係が長く続いているので、このフェアではお手すきの時に敗戦処理。と名乗って楽しい話をさせていただいている。堀さんにしろ広尾さんにしろ、こういう時、ブログやツイッターを続けていて良かったと思う。
大トリは、敗戦処理。は見物しなかったが池井優さん、向井万起男さん、蛭間豊章さんによるトークショー「私の野球の本棚」。この三人の顔ぶれによるトークショーは昨年も行われたそうだ。コアな野球ファンの期待に応える内容だったことだろう。
こういうイベントは定期的に継続することに意義があると思う。今回は昨年の12月に行われる予定だった分の代替え的意味合いもあるらしい。昨年の12月は、それまで開催していた月島の川辺では12月では寒いだろうとのことで場所替えしたと聞いた記憶があるが、結果的に4月になり好天にも恵まれた。そうなると月島のイメージがある人にはスペースが狭いと感じられた様で、確かに外に出て時間をつぶす人が少なくなかった。実際、出品者の中にも「ここは一息付けるくつろげる場所がないですね」といっていた人がいた。
評判が評判を呼び、これから来場者が増えるとなれば、会場選びも重要になってくるだろう。あまりに来場者が多くなり、来場者と出品者、出演者の濃密な関わりが希薄になっていくのも考え物。今後の方向性を見守りたい。
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