武田久79日ぶりの実戦マウンド!復活への第一歩
日曜日のファイターズスタジアム。婚活イベントが再び行われるとかで、けっこうな賑わいを想像したが、西船橋駅11:00発の京成バスに乗ってちょうど開場のタイミングで到着したら、入場列がさほど長くなっていなかった。球団としてはより多くの集客を目指して様々なイベントを企画しているのだろうが、一観戦者(しかも遠方からなので)としては適度な混み具合といった感じか。入場者数に関しては後述する。
婚活イベントにタイアップしている婚活生活こと、株式会社マリッジイノベーションが千葉県船橋市の企業だからか、先月の船橋市の市議選で初当選した、元福島中央テレビのアナウンサーにして元プロレスラーの鈴木浩子市議会議員が登場。市で取り組む少子化対策のPRをしたのをはじめ、始球式にも登板した。
これが市議としての初仕事だ、みたいなことを言っていた。だいじょうぶか船橋市<!?>
鈴木市議、敗戦処理。はこの人のことを知らなかったのだが、凄い経歴の持ち主だ。興味をお持ちの方はWikipediaを参照されたい。
因みに始球式のバックには今日の婚活イベントに参加した女性がファイターズナインとともに守備についていた。
ファイターズの先発は先日、拙blog4月25日付エントリー高梨の時代はきっと来る…。 で取り上げた高梨裕稔。その後一軍でプロ入り初登板を先発で果たす大抜擢を受けたが、残念ながら好結果を残せなかった。個人的にはあの一軍での登板はいわば〝研修〞の様なもので、一軍のレベルの高さを身に染みて感じるだけでも高梨と球団にとってプラスなのではと勝手に思っている。今の高梨にはファームで先発投手として経験を積み重ね、しっかり結果を出し続けることで信頼を勝ち取りたいところ。一方のスワローズの先発は赤川克紀。
高梨は既にイースタンでは4勝を挙げているが、初回から先頭の藤井亮太と谷内亮太を連続奪三振。今季のイースタンでここまで31回2/3を投げて48奪三振。奪三振率は13.64と驚異の奪三振率を誇っているが今日もいい立ち上がりを見せた。二回表には「五番・レフト」で出場しているラスティング・ミレッジから三振を奪った。
ファイターズ打線は赤川の制球難につけこんだ。
二回裏、スターティングメンバーで唯一の左打者、大嶋匠が一、二塁間を破って出塁。一死後、佐藤正尭が三遊間を破って一死一、二塁。九番でスタメンマスクをかぶる清水優心が打席へ。ここでスワローズの守備陣形を見たら、試合の序盤なのに右翼手と中堅手が1点勝負の試合終盤に近い前寄りの守備位置にいた。「逆方向には大きな打球が飛ばないと思われているのですかね…」などと隣に座っている人に話していたら、清水の打球はふらふらっとライトの後方に上がり、浅く守っていた右翼手の原泉の頭を越え、ほぼオンラインで落ちる右翼線二塁打となりファイターズが1点先制。
この後、渡邉諒、森本龍也に連続四球で押し出し。石川慎吾の遊ゴロを名手・谷内が二塁走者の渡邉の動きを気にしたのか打球を大きく弾くタイムリーエラーでさらに1点。この時、谷内がはじいてレフト前に転がったボールを拾ったミレッジの動きは軽快だった。
ミレッジはこの日は打撃では3打数1安打だったが、併殺打になりそうな三ゴロでの一塁への全力疾走を含め、動きには問題がないように思えた。一軍に復帰して一試合で離脱したウラディミール・バレンティンの例があり、復帰には慎重を期すだろうが、スワローズの一軍は今日ようやく連敗を止めたとはいえ、そのバレンティンの離脱の長期化が明らかになったこともあり、ミレッジは週明けにでも一軍に復帰するのではないか。この日の動きを観る限りではそう思えた。
ここで成本年秀投手コーチがマウンドに上がってアドバイスを送るも、赤川の制球難はさらに続き、続く鵜久森淳志にも押し出しの四球。4対0となってついに投手交代。二番手は寺田哲也。
スワローズの一軍は上述のごとく、昨日まで9連敗という状態だった。開幕から14試合連続して3失点以内と機能していた投手陣も打たれだし、連敗でセ・リーグの首位から最下位に転落した。こんな時こそ一軍で実績のあるサウスポーの赤川の復調が待たれるところであろうが、チーム状況にもかかわらず今日の登板で赤川がイースタンで10試合目になるというのも理解できる気がする。
そもそもファームの情報はメディアではなかなか伝わってこないものだが、スワローズに関しては館山昌平や由規の動向ばかりが取り上げられる傾向にある。もっと身近に復帰に苦しんでいる投手がいることも忘れてはなるまい。
ファイターズとしては取れるうちに取れるだけ得点したいところだが、なおも一死満塁から高濱祐仁の放った一塁手の頭上を越えるハーフライナーの打球で1点を加えたものの一塁走者の鵜久森のスタートが遅れて二塁で封殺されるライトゴロとなり、この回二度目の打席となる大嶋の三遊間をゴロを谷内のファインプレーに阻まれて二封された。それでもこの回、ファイターズは5点を奪った。
高梨は直後の三回表に山川晃司に打った瞬間に本塁打とわかる打球を左中間に放り込まれて5対1。大量点獲得直後に一発を許し、点の取り合いになるかと嫌な予感がしたが、この1点止まり。
高梨は続く四回表にも松井淳の二塁打と武内晋一への四球で一死一、二塁のピンチを招いて打席にミレッジを迎えるが、ミレッジを三ゴロ、ユウイチを左飛に打ち取って無失点で凌いだ。ただ、無失点に凌ぐのは良いのだが、高梨は走者を背負うとやおら間合いが長くなる。もちろん、走者を背負っているから慎重にならざるを得ないのだろうが、もうちょっとどうにかならんのかと感じた。
結局、今日の高梨は5イニングを投げて山川の本塁打の1失点のみ。奪三振は5個。スコアボードに表示される球速はせいぜい140kmを超える程度だが、低めを突くのと、その低目にフォーク系のボールを混ぜることで三振の山を築いているように素人目には映る。
高梨の奪三振はシーズン通算では53。昨日の時点で高梨の奪三振数48はイースタン・リーグではライオンズの誠の49に次ぐリーグ2位。今日はライオンズのファームはゴールデンイーグルスと対戦したが、ゴールデンイーグルスの公式二軍情報 @Eagles_Farm のツイッター情報によると今日は誠は登板していないようなので高梨が奪三振数でイースタン・リーグのトップに立ったと見られる。
そして六回表、二番手には武田久が上がった。負傷した2月27日のSKワイバーンズ戦以来、79日ぶりの実戦マウンドとなった。
武田久がファイターズスタジアムのマウンドに上がるのを見るのは初めてではない。過去にも故障明けや、昨年のように不調でファームで調整している姿を観た。東京ドームなどの一軍戦より近い距離で観ていることもあるが、武田久の常にボールを低めに集めようという意識はすごい。
先頭の藤井を1-0から左飛、続く谷内を2-1から二邪飛、三番の松井を1-2から空振り三振に仕留め、1イニングを10球で三者凡退に退けた。
最優秀救援投手3回受賞、球団歴代最多の通算167セーブを挙げた大功労者も現在36歳。率直に言って、かつてのようにクローザーとしての武田久が復活するのは簡単なことでは無いと思う。
また、ファイターズファンの中には、昨今のこの球団の独特の事情、人の出入りの激しさから、武田久はもう戻ってこないものとしてチーム構想を考えているファンも少なくないようだ。だが、一軍は上位に付けているとはいえ、昨年と比べると、マイケル・クロッタが絶不調で二度目の二軍落ちをしている状態で、今より勝率を上げようとすると、増井浩俊や宮西尚生への負荷がさらに高まる恐れがある。こういう時に頼りになる谷元圭介も昨年に比べれば精度を欠き、それでも他にいないからリードしている試合でもビハインドの展開でも登板し、チーム試合数の半分に登板している状態。実績のある矢貫俊之や河野秀数も不調でファーム暮らし。
決して楽観視出来る状態では無いと思う。
今日の10球だけで「武田久、復活近し!」とはしゃぐつもりはない。これから何試合か、今日のような投球を続けて、それで初めて復活云々という話だろう。連投テストも必要であろう。ただ昨年の武田勝が中継ぎに回って、それなりに機能したにもかかわらず、連投が利かないという弱点も露呈したことを考えると、ファイターズのように完投能力のある投手が少ない陣容では出来れば三日間連投出来るレベルにまで戻って欲しい。
そして再び、リードした試合の最終回にマウンドに上がって、走者を二人出しながらも何事もなかったような顔で後続の打者を抑えてチームに白星を導く武田久の姿を観たいものだ。
二回裏の5点以降、追加点を奪えそうで奪えないファイターズ打線は六回裏、石川慎と高濱の短長打で一死二、三塁のチャンスをつかむが大嶋は三塁ゴロ。三塁走者の石川慎が三本間に挟まれるが捕手の山川が三塁に悪送球してこの間に二者生還。相手のミスに助けられてようやく2点を追加した。
だがこの2点を、直後の七回表に登板した増渕竜義がすぐ返される。
スワローズ出身の増渕の登板に一塁側のスワローズファンからも声援が送られたが、ミレッジに安打。
さらにユウイチに四球の一死一、二塁から暴投で二、三塁としたあとに原に左中間を破られて7対3とされた。
ファイターズは八回表に、もう一人、復活をかける森内壽春が登板。こちらは非公式戦である3日のフューチャーズ戦で復帰登板を果たしたが長短打を浴びて1イニングで自責点1という内容に終わった。
それから二週間、森内は途中、スコアボードのカウント表示と投球数表示が動かなくなるアクシデントにさらされながらも落ち着いたマウンドさばきで1イニングを三人で片付けた。投球数はおそらく15球。藤井を二ゴロ、谷内を遊ゴロ、松井を三振という内容だった。一軍入り争いが過激になるのは大歓迎。森内もどんどん調子を上げて欲しい。
最終回は斎藤佑樹の登板かと思ったら大塚豊が出てきて三人で抑え、ファイターズは7対3と快勝した。今季、敗戦処理。が生観戦したファイターズのファームの公式戦では初勝利!
【17日・ファイターズスタジアム】
YS 001 000 200 =3
F 050 002 00× =7
YS)●赤川、寺田、土肥、金伏、中島、大場-山川、井野
F)○高梨、武田久、増渕、森内、大塚-清水、市川
本塁打)山川2号ソロ(高梨・3回)
快勝と書いたが、ファイターズは攻撃で8残塁と、もっともっと得点を重ねられるチャンスを逃していたのが気になる。これは一軍にも感じる傾向で、得点を入れたイニングでも、走者を塁に残して攻撃を終えるケースが目立ち、もっと貪欲にプラス1点を追求出来るのではないかと感じる時がある。
森内登板のところでスコアボードの不具合について触れたが、いつもなら八回終了時にスコアボードに表示される入場者数は、場内アナウンスによる発表のみで、1,414人とのことだった。上述した様に個人的には適正人数<苦笑>だが、球団としては頭の痛いところだろう。アイドルタレントを呼んだ前日はまさかの681人だった。
ファイターズのファームはここまで主催試合20試合で24,216人を動員。一試合当たり1,211人。もちろんこの数字はファームの試合としては多い方だが、昨年の同じ20試合時点では一試合平均1,370人だったから一試合当たり100人以上、約12%の減少だ。
今回、そして4月にも行った婚活イベントは女性ファンの掘り起こしをも試みたイベントであることは想像に難くないがその究極のイベント試合が来月の27日、28日に行われるカープとのファーム交流戦だろう。話題の「カープ女子」を取り込もうと、主に広島方面から遠征観戦する「カープ女子」を未婚での1泊2日の観戦ツアーも組んでいるそうだ。故障する前のスコアボードでその告知もなされていたが、ファイターズ主催のファーム交流戦なのに、‶Carp vs FIGHTERS″と、カープ主催試合かのごとく表示。
集客が上手くいかず「カープ女子」頼みと焦っているのが見え見え。野球界の当たり前のお約束、対戦チーム名を表示する時には主催球団を先にと言う決まり事も間違えるとは、よほど焦っている<!?>
チームはイースタン・リーグ優勝を果たした2011年以来久々に勝率五割をキープ。二回に一回は勝ち試合を観ることが出来る確率でありながら、入場者数は減少。「成田商法」へのファンの不満は入場者数減という形で数値化されているのかもしれない。
筆者注.
矢貫と河野のサイン会の写真は今年5月3日に撮影したもの。
武田久がナインと勝利を喜び合うシーンの写真は2012年4月26日に撮影したものです。
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