今年のファイターズのファームは負けるにしてもひと味違う!?
ファイターズは4日のファイターズスタジアムでのライオンズ戦で、0対11から大逆転勝利という離れ業を見せた が、その後が続かない。勢いの付く勝ち方だと思うのだが、翌日からライオンズに連敗、一日おいてベイスターズにも敗れ、今日(9日)を迎えた。昨日の横須賀スタジアムでの試合は、大谷翔平の調整登板が話題になったが、ルイス・メンドーサと大谷が2イニングずつ投げて計1失点ながらその後で逆転された。
この三連戦は一試合ごとに行われる球場を変える。昨日はベイスターズのファームの本拠地、横須賀スタジアム。今日は海老名運動公園野球場、明日は平塚球場(今はネーミングライツでバッティングパレス相石ひらつか球場)で行われる。
海老名市のマスコット、えびーにゃがファンを出迎え、海老名市長の挨拶があり(内野優海老名市長のあいさつは6月2日エントリー予定の「生」観戦した野球場で取り上げるつもりです。)と地方球場のお決まりの儀式の後、ベイスターズが一昨年のドラフトで1位指名された二年目の柿田裕太、ファイターズが同じく5位指名での入団の金平将至の両先発でプレイボール。
試合は序盤から動く。一回表、ファイターズは二死から石川愼吾が左中間に二塁打を放つと、続く四番の佐藤賢治が渋くレフト前に運び、石川慎を迎え入れて1点を先行。
佐藤賢は横浜高校の出身ということもあってか、ベイスターズファンが圧倒的に多いスタンドでも声援が多かった。ファイターズの出場選手では北篤と高濱祐仁にも声援が多かった。地方開催試合の好きな光景の一つだ。
その裏、ベイスターズもすぐに反撃。ファイターズの先発、二年目の金平は実は一軍、二軍を通じて初先発。ルーキーイヤーの昨年は開幕一軍入りを果たし、開幕戦にリリーフ登板したが、今季はまだ一軍に上がっていない。
一番の桑原将志が三遊間を破り、併殺崩れで走者が入れ替わった一死一塁から三番の柳田殖生が右中間を深々と破るタイムリー三塁打を放ち、すぐに同点。
この後、四球で一、三塁となり、五番の赤堀大智がレフト前に運んであっという間にベイスターズが逆転。冒頭の写真はあれよあれよという感じで初回から2失点した金平にアドバイスをしに伊藤剛ファーム総合コーチ兼投手コーチがマウンドに出てきたところだ。
今季の金平はこの試合の前まで5試合すべてリリーフ登板で、6イニングで自責点3、防御率4.50と平凡な成績だが、直近の登板では4月25日の対マリーンズ戦で2イニング無失点、30日のゴールデンイーグルス戦で1イニングを無失点と好結果が続いていた。非公式戦の5月3日のフューチャーズ戦の1イニング無失点を加えれば3試合連続無失点だったが初先発でつまずいた。ファイターズが三回表に上位打線でチャンスを作り、松本剛の左翼線二塁打で2対2の同点に追いつくと、その裏に再びつかまる。
先頭の柳田を遊ゴロに打ち取ったもののこれを渡邉諒がはじく失策。続く宮崎俊郎にセンター前に運ばれて.無死一、二塁。五番の赤堀が三塁線にきれいな送りバントを決めて一死二、三塁。
靏岡賢二郎を浅い右飛に打ち取り二死までこぎ着け、何とか抑えきれるかと思ったら渡邊雄貴にライト前に運ばれ、二者生還。
2対4となり、金平はこの回限りでマウンドを降りた。
ファイターズは四回から二番手に新垣勇人をつぎ込むが、この新垣も立ち上がりが悪い。
一死から桑原にこの日三本目の安打を打たれて一死一塁とされ、続く内村賢介にライト線を破られるタイムリーであっという間に失点。
ただし打者走者の内村は一気に三塁を狙いタッチアウト。これが三塁打になっていたら、あるいは二塁で止まっていたら、さらに追加点が入っていたかもしれないが1点で止まった。新垣は続く五回と六回をともに三人ずつで片付けていただけに悔やまれる立ち上がりだった。
ベイスターズの先発・柿田も四回からは佐藤正堯の1安打のみに抑える安定感を示し、6イニングで打者25人、被安打6(三回までに被安打5)、2失点で降板。七回表のマウンドには大原慎司が上がった。
2011年にルーキー投手の最多登板記録71試合を達成(翌年にマリーンズの益田直也が72試合と更新)したのを皮切りに四年間で206試合に登板した金属疲労か、昨年から左肩痛に悩まされていたが、先頃復帰。
大原はいきなり左対左になる太田賢吾にレフト前にポテンヒットを打たれると、岸里亮祐の三塁ゴロを山下幸輝がはじく失策と渡邉にも安打を打たれて一死満塁のピンチを招くが石川愼吾の右犠飛の1失点にとどめた。直後の二死一、三塁のピンチで左対左の佐藤賢を三振に仕留めた投球は圧巻だった。
ベイスターズは八回には昨年、ルーキーながら21セーブを挙げた三上朋也を投入。
ここまでイースタンで5試合で自責点4、防御率7.20と本調子にはほど遠いのだが、いきなり松本と北に連打されて無死一、二塁のピンチを招く。
ここでファイターズは高濱に送りバントのサインを出すも、二球続けてファウル。
結局強攻策に切り替えて中飛に倒れると、後続も断たれ無得点。三上がフラフラしながら無失点に切り抜けた形だったが、スタンドのベイスターズファンからは「三上がこんなんじゃ、来年山崎もこうなるのか…」なんて声も聞かれた。
九回表は大田阿斗里。2013年のセットアッパーとしての台頭は幻だったのかというくらいの昨年は元の木阿弥ぶりだったが、この試合でのマウンドもベイスターズファンを安心させるものではなかった。
八回を終わってベイスターズが5対3と2点リード。このまま抑えれば試合終了だがファイターズサイドでは同点、あるいは逆転した場合の九回裏に備えて斎藤佑樹が三塁側のファウルグラウンドにあるブルペンで本格的な投球練習を始めた。
ファンがどんどんネット裏から三塁側に移り出し、ざわつくなか、大田は一死から渡邉に四球。暴投で二塁に進め、石川慎と佐藤賢に連続安打で1点差に迫られ、さらに松本にストレートの四球で一死満塁と一打逆転の場面となったが、北を三振、高濱を二飛と最後の力を振り絞った。ファイターズは反撃むなしく4対5で敗れた。
【9日・海老名運動公園野球場】
F 101 000 101 =4
B 202 100 00× =5
F)●金平、新垣、大塚-佐藤正、市川
B)○柿田、大原、三上、S大田-靏岡
本塁打)両軍とも無し
結局斎藤佑樹は登板しなかった。ブルペンに群がった佑ちゃんファンは、本当に佑ちゃんを観たいのなら九回表はもっともっとファイターズを応援して欲しかった。佑ちゃんの登板を実現するためにはファイターズは少なくとも九回表に同点に追いつかなければならないのだから…。
ファイターズではこの試合の七回から市川友也が今季初めてマスクをかぶった。
市川は昨年12月に腰椎分離症および腰椎椎間板ヘルニアによる手術を受け、大幅に出遅れ、完治寸前に別の故障をしていた。昨年一軍で大野奨太の104試合に次ぐ69試合にマスクをかぶるブレークだったが、休んでいる間に近藤健介が攻守両面で活躍。二年目の石川亮も抜擢に答えてがんばており、大野を含め三人体制が成り立っている。市川は今日の復帰で大きな一歩を歩んだと言えようが、越えなければならない壁は高い。
ファイターズはこれで四連敗と、何かいやな予感がしてきたが、過去の三試合はわからないがこの試合を観た感想としては、同じ黒星でも昨年や一昨年には無い粘りを感じた。相手投手の制球難による自滅気味なところもあったが、昨年までだったらもっとあっさりと負けていたと思うし、八回裏の二死二、三塁のピンチに、桑原にとどめを刺されていただろう。
ファームは勝敗という結果が必ずしもすべてではない、というのなら、それでも金を払って見に来てくれるファンを増やすためには、負けてもファンに何かを期待させなければ興行として成り立ちにくいだろう。「勝つ」というわかりやすい毛かを出すことでファンを満足させられないのなら、「また、次も見に来よう」と思わせる別の何かを提供しなければならないだろう。今日のように最後まで何かが起きるという期待を持たせる試合をすることもその一つだろう。
ただ、今日の試合の分岐点を考えると、ベイスターズは三回裏の無死一、二塁で送りバントを成功させ、ファイターズは八回表の無死一、二塁の反撃機に高濱がバント失敗。野村克也が言うように、「負けに不思議の負け無し」なのだ。そこは反省し、改善しよう!緊迫した場面で、相手に警戒される中できちんと送りバントを決められるか否か。こういう内容が備わっているかは結局、勝敗という結果に反映されてしまうのだ。
11点差を逆転したのは素晴らしい。でも個人的にはその試合で1イニングに自責点4という結果を残したマイケル・クロッタの調子の方が、敗戦処理。には気になる。これが敗戦処理。のファームの見方だ…。
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