他山の石以て玉を攻むべし~一軍の不幸は蜜の味
ジャイアンツは4日の対カープ戦で、インフィールドフライが宣告された飛球を落球し、宣告に気付かずフォースプレーと判断してサヨナラの走者の生還を許す珍プレー的な敗北を喫してしまった。だからなのかどうかは判然としないが、翌5日、ジャイアンツのファームはイースタン・リーグ公式戦終了後に多くの選手が守備位置について、フライマシンによるフライ捕球の練習を行った。
別に、イースタンの試合で守備ミスが起きた訳ではない。前夜の一軍の凡プレーを、そもそもフライを落球したミスと捉えて、教訓としてファームの選手が試合後に練習したのではないかと敗戦処理。は推測したが…
(写真:午後4時に試合開始したイースタン・リーグ公式戦、ゴールデンイーグルス戦の終了後にフライマシンによる全体守備練習を行ったジャイアンツの選手達)
今日(5日)はジャイアンツ球場でイースタン・リーグ公式戦を観てきた。ゴールデンウィークの後半で、こどもの日に当たる日に、何故午後4時試合開始という設定にしたのかよくわからない。
一軍の昨日4日の試合にナイトゲームが多かったのは、前日と対戦カードが変わり、移動するチームに合わせてデーゲームを避けたものと容易に推測出来るが、ジャイアンツ球場で昨日と今日、午後4時試合開始にしたのは謎だ。午前11時試合開始の練習試合を組んだ訳でもない。
ゴールデンイーグルスがジャイアンツ戦の前に本拠地の利府で試合を行っていたから移動を考慮したのかもしれないが、3日の利府での試合はいつもより一時間早い12時試合開始に設定していたくらいなので、4日のこのカードを午後4時試合開始にした理由はゴールデンウィーク期間で道路が混むから、いつもより移動に時間がかかり、選手に心身両面での負荷がかかるからなのかもしれないが…。因みにイースタン・リーグの球団で唯一関東以外に本拠地を置くゴールデンイーグルスは、今季今回以外に利府で試合を行って移動日無しで他球団の本拠地に移動するケースが二度あるが、その二度は前後の試合に試合時間の設定を変えていない。
ただ、午後4時試合開始とはいえゴールデンウィーク。開場時刻の午後1時に着くタイミングで球場に向かった。京王よみうりランド駅で降りると、今季からのサービス、ジャイアンツ球場までの無料シャトルバスに乗る様勧められ、つい乗ってしまった。
当たり前だが、「巨人への道」283段踏破より楽天、いや楽ちんだ。
今季から始まったこのサービス。土日祝日限定とのことだが、むしろ平日こそ、このサービスをありがたがる客層が多い様に個人的に思う。2009年秋に「よみうりV通り」が開通してから廃止されたシャトルバス。再開はありがたいがニーズを考えれば試合開催日全日にすべきではないか。費用負担がどうしても重荷なら100円でも有償にすればいい。
試合前の練習中、亀井善行がキャッチボールしているのを見つけた。
敗戦処理。が前回生観戦した先月26日のタイガース戦で実戦復帰して3打数3安打と活躍したので一軍復帰近しと思ったが、それ以降イースタンで出場無し。今日(5日)のスポーツ報知に「あとは実戦に行って上げていくだけです」とのコメントが載っていたので試合に出るかと思ったが不出場だった。余談だが左胸の数字が一桁とわかった時点で坂本勇人では?と敗戦処理。を含め数人のファンが色めき立ったが、たぶん坂本の姿はなかった。
また、シートノックでは相川亮二が捕手として参加して軽快な動きを見せていた。
こちらも出場は無し。試合でマスクをかぶったのは河野元貴だった。逆に、鬼屋敷正人の姿が見当たらないのが気になった。今日は田口麗斗が登録抹消になったので、その代替えで広島に向かったというのならよいのだが、気になる。
久保博球団社長の肝いりで「GⅡプロジェクト」なるものを立ち上げ、ファンサービスを強化してジャイアンツ球場の集客力を強化する事を目論んでいるジャイアンツ。今日はこどもの日ということで、何をやるのかと思ったら試合前に中学生以下限定でのマスコットとのジャンケン大会でグッズがもらえるという程度の企画でお茶を濁していた<苦笑>。
前週のタイガースとのファーム交流戦ではジャイアンツ球場開場以来、最多となる3,646人を集め、久保社長も大満足だったそうだが、はっきり言ってタイガース人気による面が大きかっただろう。そして土日の二連戦だったが、翌日の日曜日には入場者数が1,000人以上減った。今日も1,560人と、決して少ない人数ではないが、本気で集客を求めたとしたら多いとは言えない人数だった。
ジャイアンツの先発は、先発バッテリー発表の時点では中六日になる小山雄輝だったが、スターティングメンバー発表の直前に田中太一の先発に変更と発表された。
ゴールデンイーグルスの先発は、2013年のジャイアンツとの日本シリーズ第5戦に先発して5イニングを無失点に抑えた辛島航。
田中太はその小山と同期で、昨年まで四年間は支配下選手登録だったが、今年は育成選手契約になってしまった。他に同期は澤村拓一と宮國椋丞で、同期で育成ドラフトで入団した8選手は既に全員ジャイアンツのユニフォームを着ていない。
余談だが田中太の入団当時には同姓の田中大二郎がいたため、スポーツ新聞などでは「田中太」と表記されたが、ジャイアンツ球場のスコアボードでは「田中太一」とフルネームで表記されていた。
先輩の田中大二郎は「田中大」で、田中太一が「田中太一」なのはスコアボードで「大」と「太」が紛らわしいという配慮だと感じられたが、田中大二郎が退団して「田中」になっていた田中太一は後輩に田中大輝が入団した今季、田中太一のスコアボード表示は「田中太」になっていた…。
久保社長、ファンサービスは後退していますよ!
「緊急登板なら福田だろう!?」なんてヤジがスタンドから飛んでいたが、緊急登板の田中太は今季まだ4試合目の登板。過去三試合はすべてリリーフで、短いイニングながら無失点に抑えたのは一試合だけで、5イニング、自責点3で防御率は5.40。
ファームといえども、先発ローテーションはある程度決まっている。ジャイアンツは現在六連戦の真っ只中で、六連戦の五戦目。しかも昨日と一昨日は二試合連続でイースタン規定上限の延長十一回までもつれ、二日間で述べ10人の投手をつぎ込んでいる。土田瑞起は二日間連続で2イニング登板した。緊急先発出来る投手も限られているだろうし、それでいて出来るだけ長く投げて欲しい。いわゆる‶でも・しか″で消去法的に田中太の先発が決まったとも推測出来、田中太には大チャンスなのだが、プレッシャーもかかる登板だ。
田中太は初回、阿部俊人、西田哲朗とともに一軍でスタメン出場してもおかしくない一、二番をうまく打ち取り、三番のゼラス・ウィーラーにはレフト後方の網を直撃するあわや本塁打という打球を打たれるが、打球が速かったのと、ウィーラーが甘利全力で走っていなかったのが幸いでシングルヒットにおさまると、四番の小斉祐輔を一ゴロに打ち取って心配な立ち上がりを無難に無失点で切り抜けた。
ジャイアンツはその裏、辛島を攻めて二死から、「三番・DH」で出場のフレデリク・セペダがライトの頭上を超える二塁打を放った。
セペダは一軍では18打数0安打という絶不調ぶりで二軍降格したが、昨年も一軍ではスイッチヒッターながら右打席ではさっぱりだったという印象がある。四番でスタメン出場しながら対左投手で代打を送られた試合もあった。昨年、すべての試合を観ていた訳ではないが、セペダが右打席で安打を打ったのはいつ以来かな…などと考えていたら、その間に四番の和田恋がライトオーバーの先制2ランを放った。田中太には嬉しい早期援護点が入った。
セペダは第二打席では三振だったが、第三打席でも同じ辛島から右打席で今度はレフト後方の網に当たる二塁打を放った。今日は3打数2安打1打点。課題を克服しつつあるのであれば良いことだが、一軍の外国人枠を考えると、いぜん状況は厳しい。これから六連戦が増えてくると、マイルス・マイコラスとアーロン・ポレダを一軍で固定したくなる。スコット・マシソンは簡単には外せない。投手で3人を占めると、野手は一人。セペダが一軍に上がるためには、レスリー・アンダーソンとホアン・フランシスコ両方に勝たなければならないのだ。
ジャイアンツは二回にも岡本和真と辻東倫の連打で無死一、二塁のチャンスをつかむが河野の送りバントが捕手の小関翔太の好フィールディングもあって2-5-4の併殺打となってしまった。
辛島に立ち直りのきっかけを与えてしまい、その後も続投した辛島からは六回裏に上述のセペダの二塁打がタイムリーとなって挙げた1点の追加のみだった。
田中太は主に140km台後半のストレートを小気味よく投げ込み、五回まで投げて被安打3の無失点。三回表に唯一の四球を出して送りバントで二塁に進められたが、その走者が唯一の得点圏。他は二塁を踏ませなかった。支配下時代、四年間で一軍昇格はもちろん無く、イースタン通算で45試合、1勝3敗0セーブ。59回で自責点43、6.56という成績で育成選手契約に格下げされた投手の転換のきっかけになって欲しいものだ。
二番手の江柄子裕樹は一人で3イニングを投げた。
江柄子は昨日も二番手でマウンドに上がり、1回2/3を投げている。土田以上にハードな連投となったが、代わりっぱなの六回表に一死から西田哲朗に三塁打を打たれてその後一死一、三塁のピンチを招くが小斉のレフトフライで吉川大幾の好返球で西田をホームで刺し、無失点で凌ぐと3イニングを無失点に退けた。
3点リードの最終回にはこの五日間で四試合目の登板となる香月良太が登板。
先頭の小斉に安打を打たれるも併殺で切り抜けると、三人で片付けた。ジャイアンツはこの試合を3対0でものにした。
【5日・ジャイアンツ球場】
モ 000 000 000 =0
G 200 001 00× =3
モ)●辛島、大塚-小関
G)○田中太、江柄子、S香月-河野
本塁打)和田2号2ラン(辛島・1回)
試合時間も約2時間31分(推定)と短く、遠方からのファンにもありがたい快勝だった。先発を回避した小山が気になるが…。明日(6日)のこのカードはいつもの13時試合開始だが、報道によると内海哲也が先発するという。イベントの仕掛けもあるそうで、タイガース戦並みの大入りも期待出来そうだ。しかし、相手がタイガースだからとか、一軍のエース級が先発するという理由で満員になってもそれで「GⅡプロジェクト」の成果とはならないだろう。まだまだファンサービスという面では甘いと思う。今はそうした試合で集まった多くのファンに「また次も来よう!」と思わせる試合、ファンサービスが出来ているかを検証すべきだろう。
試合が終わり、DJチャス。とは似ても似つかぬ真面目そうな球団スタッフによる田中太のヒーローインタビューも終わり、そろそろ帰ろうかと思ったら球場の照明が再び明るくなり、物々しい機械がホームベース付近に置かれ、多くの選手が守備位置に散った。
フライマシンで方向を調節出来るようだ。外野手にも打っていたから、必ずしも前日の一軍の珍プレーに端を発した緊急練習とは思えないが、内野手にフライが上がると、残っていたスタンドのファンから「インフィールドフライ!」とのヤジが飛び、それに気付いた後藤孝志コーチがスタンドの方を向いて笑っていた。捕りづらいのか、何人も落球していた。
タイトルは、語弊はあるかもしれないが、一軍でミスが出れば、それは即ち、ファームの選手にとってはチャンスだということ。原辰徳監督が短絡的な懲罰が好きな監督だからといって、昨日のプレーで誰かに制裁を科すとは考えにくいが、ファームの選手は喜ぶくらいであって欲しい。それは今日突然チャンスが回ってきた田中太も同様だと思う。
フライマシンによる全体練習<!?>が終わった後、育成選手の芳川庸がグラウンドに残り、小関竜也コーチ、吉原孝介コーチに個別指導を受けていた。フライマシンで打ち上げたフライを何球か落球していたからだろうか。吉原コーチからは、かなり厳しい言葉も浴びせられていた。
こういう練習姿を見ると、今度試合に出た時にも応援したくなる。もしも鬼屋敷が故障で離脱なら、芳川は今がチャンスなのだ。だが、まずは支配下選手登録される様にならないと…。
一方、7イニングを投げて3失点。いわゆるクオリティ・スタートを果たしながら敗戦投手になった辛島。残念だった、と言いたいところだが、この時期にこんなところで投げている場合ではなかろう。格言で始まったエントリーは諺で締めよう。口は災いの元になるなかれ。
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