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2015年10月25日 (日)

ジャイアンツが「第二の二軍」を再開…じゃなくて三軍制導入を発表

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ジャイアンツが高橋由伸新監督の就任を発表する前日の
22日、ドラフト会議で今ドラフト十二球団最多の8人もの育成選手を指名した。また同日、育成選手中心の三軍制を施行することも発表した。


育成選手の大量指名の裏には、これから先、プレー出来なくなる選手が何人追加されるかわからないからとの穿った見方もあるようだが、そうではないようだ。


 かつてやはり育成選手主体の「第二の二軍」を編成し、独立リーグのチームや、社会人野球や大学の野球部との交流試合を通じてチーム力の底上げを図っていたジャイアンツだが2012年を最後に「第二の二軍」を解体し、単に二軍を大所帯にしていたジャイアンツが三軍と名称を変えて再び若手選手の発掘を試みる。


(写真:「第二の二軍」を率い、交流戦の相手、青山学院大学の河原井正雄監督に挨拶する吉原孝介育成チーフコーチ 20118月撮影。肩書きはいずれも当時のもの)



三軍の設置について

 読売巨人軍は来季から、一軍、二軍のほかにもう1チーム育成選手を中心とした「三軍」を編成することになりましたのでお知らせします。

 三軍は育成選手を中心とし2025名の規模になる見込みです。対戦相手は国内独立リーグ、大学、社会人などを予定しており、年間90試合程度の実戦経験の場を設け、若手選手の育成を図ることを目的としています。なお、現状イースタンリーグで取り組んでいるフューチャーズ戦は2015
年並みの試合数を維持できるよう、選手とスタッフ派遣に努めます。

 三軍の監督、コーチ、スタッフなどの指導体制や試合日程などは今後調整し、決定後改めて発表致します。


読売巨人軍公式サイト GIANTS NEWS 2015.10.22 より


今季のパ・リーグを独走で制し、二年連続リーグ優勝を果たして現在日本シリーズを戦っているホークスが三軍制を採用しており、より多くの選手がしのぎを削り合う環境を整備してチーム力の底上げに寄与しているのは間違いの無いところだが、育成選手制度の旗振り役であったジャイアンツがホークスに追従するかのように、三軍制を採用する。


ホークスの三軍は、ホークスの取り組みを高評価している広尾晃氏のブログ、野球の記録で話したい「巨人、三軍設置へ」によると、今季、79試合も試合を行ったそうだ。国内独立リーグとの対戦が39試合と半数を占めるほか、NPBのファームチームと19試合対戦しているとのことだから、ウエスタン・リーグのチーム数が奇数であることによって対戦を組めないチームと対戦したのだろう。ホークスだけでなく、ファームがウエスタン・リーグに所属する他球団にとってもプラスになったのだろう。因みにジャイアンツのファームが今季、イースタン・リーグ公式戦以外に独立リーグや、社会人野球、大学野球などのアマチュアクラブとの交流試合を行ったのは20試合。


ジャイアンツも、元々選手数の増大でより競争を厳しくし、裾野の拡大を求める他球団の協力を得て、支配下選手数70人枠を超える選手の確保にも当たる育成選手制度実現に奔走したチームだけあって、多くの育成選手を獲得し、山口鉄也、松本哲也といった一軍戦力を発掘した。2010年の育成選手ドラフトでは大量8人の育成選手を指名し、翌2011年から「第二の二軍」と称して指導者を含め二軍とは別部隊の編成を組んで主に独立リーグのチームや社会人野球、大学野球のチームと交流戦を組んで実戦を通して選手の育成を図った。


敗戦処理。のような素人判断でも、こうした取り組みは成果を出すには歳月を要し、また成功選手の出る確率も低いものだと思っていたが、ジャイアンツは2012年を以てこのシステムを解体。極端な選手のリストラこそ無かったが、二軍が大所帯になって出場機会に恵まれない選手(主に育成選手)が急増した。


それから三シーズンを経た
今季でも、ジャイアンツのファームはイースタン・リーグ公式戦の試合がない日に独立リーグ、社会人野球、大学野球のチームとの交流試合を組んだり、ジャイアンツ球場のナイトゲーム設備を利用して、交流試合を午前11時試合開始、イースタン公式戦を午後4時試合開始というダブルヘッダーを組むケースも見られた。


若手選手が主体のファームとはいえ、炎天下での一日二試合、昼夜兼行はさすがにきつい。昼の部の交流試合には育成選手など、イースタンの公式戦にはあまり出ない選手が中心で、岡本和真、和田恋といった年少の選手が掛け持ちする程度。
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ジャイアンツのファームは今季、イースタン・リーグで優勝を果たしたが、さすがにその中からレギュラークラスを除いた育成選手主体のメンバーでは独立リーグや社会人野球、大学野球のチームに苦戦する試合もあったようだ。



「第二の二軍」解体には、山口、松本哲以降にこれといった戦力になる選手を輩出出来ず、費用対効果が疑われたこともあっただろうが、これら制度の推進役であった清武英利球団代表兼ゼネラルマネージャーが球団トップである渡邊恒雄会長(当時)に反旗を翻して失脚した影響が少なくないと敗戦処理。は思う。


球団と清武氏は互いに訴訟を繰り出し合う泥仕合の様相を呈し、そうなると、球団の幹部達はトップからの直接、具体的な指令が下されなくても、清武氏が尽力した制度を厄介者扱いするのは明らかだ。余談だが清武氏によると、権力者が直接指示を下さなくても、権力者の顔色を伺って、こうした方が無難だろうと考えて、その権力者の影をちらつかせて指示を下す部下のことを忖度族と呼んでいたという。


イースタン・リーグに所属する他球団の手前、フューチャーズを廃止する訳にはいかない。フューチャーズが試合を行うためには多くの育成選手を抱えるジャイアンツの協力が不可欠だから、余剰戦力になっても育成選手を直ちに大量解雇する訳にはいかない。道義上の問題にもなるし、以後のドラフト戦略にもマイナスになりかねない。忖度族は育成選手制度の活用法に疑問を持ちながらも、完全撤廃に踏み切れないため忸怩たる思いだったのだろう。



で、今回の三軍制導入。


まさにホークスへの追従という感じだが、三軍という名称自体、ホークスの追従を想起させる。翌23日のスポーツ報知ではこの件に関し、

巨人は199091年の2年間、リハビリ組などのために3軍を置いており、名称が復活するのはそれ以来となる。

と、あくまでホークスのパクりではなく、過去にあった名称の復活であると記事で書いている。これこそ球団の意向を推測した記者の忖度記事なのかもしれないが<苦笑>、名称の復活という意味で言うならば、やはり「第二の二軍」再開として欲しかった。


「第二の二軍」という名称を復活しなかったのはやはりそれが、清武氏の影響が濃い体制だったからではないだろうか。ジャイアンツにとっては「清武の乱」はそれほどのトラウマなのだろう。


清武氏に関しては、あの告発で解任されて良くも悪くも時の人となった。独裁者に対する反旗ということで快哉を叫ぶファンがいる一方で、機密資料持ち出し疑惑や、部下に対するあたりかたなど、管理職としての資質を問う報道、論調が出始めた。個人的には清武氏の管理職としての資質になど興味は無い。


一ファンに過ぎない敗戦処理。が評価するか否かの基準は何を為したかに尽きる。清武氏は育成選手制度の実現に奔走し、フューチャーズに関しても原辰徳監督の人脈協力を得てではあるが、立ち上げのためのスポンサーを自ら見つけてスタートさせた。


確かに山口、松本哲以降、ジャイアンツでは育成選手出身で一軍の戦力になる選手は出ていないが、上述のように他球団にも波及する制度を構築させたという点ではその後のトラブルで裏の顔が露呈したとしても、少なくとも敗戦処理。の中での清武氏の評価に揺るぎはない。「コーチ人事をトップが土壇場で覆したとしても、独裁またはそれに近いトップならよくあること」という意見も当時散見されたが、こんなものはサラリーマン病の最たるもので
(敗戦処理。もサラリーマンだが<>)、ファンがそんな理由で愛する球団の独裁体制を擁護するのは理解出来ない。ポイントはチームを強くしてくれるか、魅力のあるチーム作りをしてくれるか、少なくとも敗戦処理。が球団フロントに求めるものはこの2点に代表される。


ただ、組織として一度ほおかぶりをした制度を、再び起動したことは評価したい。誰が渡邊最高顧問の首に鈴を付けたのだろうか?


ジャイアンツでファームの強化といえば、新任の久保博球団社長が今年の新年早々に「Gプロジェクトとしてファームの活性化を企図し、地域密着体制を主体としてイースタン・リーグ公式戦の集客アップを狙った。ファームの選手にとって1,000人の観衆の前でプレーするよりも2,000人の観衆の前でプレーする方が張りが出るだろうし、より多くのファンから叱咤激励を受けることで上達の速度が上がるという考えのようだ。


今季のジャイアンツ球場でのイースタン・リーグ公式戦
51試合の入場者数は56,196人で一試合平均は1,102人。昨年より約36%増だったそうだ(927日付、日刊スポーツ紙面より)。ファイターズの今季のファイターズスタジアムでの52試合の一試合平均入場者数が1,299人だから(敗戦処理。がファイターズの球団公式HPから手集計)まだリーグトップとはいえないが、社長自ら掲げたプロジェクトの第一歩としてはまずまずのスタートと言えよう。次はその1,102人のファンを満足させて継続させるための試みが必要となるが、久保社長が次なる一手として、ファームそのものの存在意義に目を向け、三軍制を導入することによって二軍と三軍の競争も煽り、その厳しい競争に勝った選手による一軍争いでこそ、一軍で戦力になる選手が次々に現れるという考え方であるなら、時間はかかるかもしれないが、ジャイアンツの「第二の二軍」いや、三軍制はジャイアンツの下支えになるだろう。


さすがに「清武の乱」の時のように「俺はそんな話、聞いてない」ということにはならないだろうが、
今回は、二、三年という短いサイクルで解体などということのないようにして欲しい。もちろん、ただ大量に採用すれば、その中から一軍で戦力になる選手が出てくるとは限らない。下手な鉄砲も数撃てば当たる的なスカウティングではまたぞろ反対派から否定されるだろう。最低限の結果が早期に出るような施策も施して欲しい。


ともあれ経緯を振り返ると一言も二言も言いたくなる今回の豹変だが、ジャイアンツにとってプラスになるよう、期待したい。

 

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コメント

サフラン様、コメントをありがとうございます。

> 選手数の多い球団、少ない球団を問わずこの抜擢と我慢こそが若手育成において重要な要素と見ています。

これは私も思います。ある程度の機会均等は保たれる必要があるでしょうが、重点的に起用される選手というのはあって然るべきだと思います。

今季のジャイアンツではルーキーの岡本に英才教育、二年目の和田に重点起用ということで和田にはかなり長い期間四番を任せていましたね。

三年目の辻もかなり期待されていると思いますが、成長の速度が三年目でちょっと落ちてきた感じです。

> パリーグの覇権争いとは別にソフトバンク型育成と日本ハム型育成という対極的な育成モデルを巡る争いとして見ることができます。
傍観者的な意見になってしまいますが、両球団とも失敗だと言われ続けてもこの方針を貫いてほしいと思っています。

十二球団それぞれの手法があって良いと思うので、どの球団もぶれずに方針を貫いて欲しいですね。

投稿: 敗戦処理。 | 2015年11月30日 (月) 23時58分

先日はあえてぼかさず「競争」否定のコメントをさせていただきましたが、プロ野球の若手育成においてこの「競争」の対義語となる言葉を探すとしたら「抜擢」「我慢」といったところでしょうか。
選手数の多い球団、少ない球団を問わずこの抜擢と我慢こそが若手育成において重要な要素と見ています。

>少数精鋭のファイターズが三軍制を完全に自分のものにしているホーク寸、今季歯が立たなかったことに危機感を覚えています。
たしかにその気持ちは分かります。ただソフトバンクの巨大戦力は育成力でというよりもまだまだ大型補強に依存している面が強く
日本ハム型の育成方針が否定されることはなく若手育成においては負けていないと思います。(勿論ソフトバンクよりも少々若手育成が優れている程度では優勝はできませんが)
来季からソフトバンク二軍は筑後へ移転となりますが、パリーグの覇権争いとは別にソフトバンク型育成と日本ハム型育成という対極的な育成モデルを巡る争いとして見ることができます。
傍観者的な意見になってしまいますが、両球団とも失敗だと言われ続けてもこの方針を貫いてほしいと思っています。

投稿: サフラン | 2015年11月29日 (日) 23時30分

サフラン様、コメントをありがとうございます。

長々とありがとうございます。

少数精鋭のファイターズが三軍制を完全に自分のものにしているホーク寸、今季歯が立たなかったことに危機感を覚えています。

費用対効果を考えると、三軍制も結果が伴うには時間を要し、そうなると資金力に余裕のある球団だけしか出来ないという壁に突き当たると思います。

それよりも、素人目には「清武の乱」以降、清武氏本人を失脚させただけでは気が済まず、ファームの育成手法にまでメスを入れてしまってジャイアンツの球団スタイルまでいペンした感じがありましたが、ここに来て三軍制という名での「第二の二軍」復活と、絶対権力者がやろうとしたことに逆行する動きが出たことに注目しています。

やってみなければわからないですけどね。

長い目で見てあげたいと思います。

投稿: 敗戦処理。 | 2015年11月25日 (水) 23時54分

こんばんは。数年ぶりのコメントとなります。
巨人もソフトバンクに追従して三軍制とのことですが、僕自身この育成選手を大量指名しての三軍制はその言葉のインパクトほどの効果があるとは思いません。
巨人、日本ハム双方の一軍・二軍を追っている敗戦処理さんはよくご存知だと思いますが、若手育成を考える際の好例がこの三軍制の真逆を行っている日本ハムではないでしょうか。
選手数は65人前後が理想、二軍は成績に関わらず若手の出場を優先しその妨げとなるベテラン・外人が極力出ないような人員調整、積極的な若手の一軍起用等が主な育成方針ですが、こうしたやり方が12球団1とも言える育成上手なチームとなっている要因と見ています。
その中でも特に若手育成で重要なのは出場機会の数と出場機会のレベルです。具体的には前者は高卒一年目の打者でもシーズン300打席は与えるといったようなもの、後者は二軍経験より一軍経験といった感じです。
しかしそういった起用は強化指定選手のような一部の選手にしかできないことであり、そのような扱いの選手が比較的多い日本ハムでも数には限りがあります。

もしも三軍制を敷いたチームの育成選手が三軍→二軍→一軍と成長し昇格していく例があった場合、真っ先にこれは三軍制があったからだと称賛されることと思いますが、上記の考えからすれば実は他の選手の(二軍・一軍での)育成機会をスポイルしている可能性が考えられます。
分かりやすくするため物凄い単純化した話にしますと例えばドラフト指名した中で毎年3人の選手を一軍戦力に育てるチームがあったとします。そのチームが育成選手の数を大幅に増やし三軍制も敷いたとしても3人育成できていたところが4人、5人と増えるのではなく3人のままとなる可能性が高いというものです。
勿論この3人の中に育成ドラフトで指名した選手は入ってくるでしょうが、二軍・一軍の若手抜擢機会が限られている以上、育成選手を大幅に増やし競争させたところでそう簡単にこの3人が4人とはならないでしょう。これが冒頭で育成選手を大量指名しての三軍制にそれほど効果があるとは思えないと書いた理由です。

選手を増やせば増やすほど競争が起きるからこれらは絶対的にいいことだと思ってる方は多いかと思われますが、むしろ若手育成の下手な球団は既存の一軍選手と若手選手を競争させちゃっているが故に若手が出てこないようにも見えます。
ここでも日本ハムの例を出しますと現在主力の陽、中田、中島、近藤などは競争させたというよりもこの選手を育てるんだという意図をもって二軍・一軍で我慢して起用し育成に成功した例と言えます。
プロ野球における最善の若手育成方針を論議するにあたっては『競争と機会のスポイルは表裏一体である』この認識が欠かせないものであると僕は考えます。

投稿: サフラン | 2015年11月25日 (水) 01時25分

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