侍ジャパン3位に終わる-第1回プレミア12は韓国が初代王者になって幕。
19日に行われた準決勝で韓国に逆転負けを喫した侍ジャパンは、21日、東京ドームで決勝戦の前に行われるメキシコとの3位決定戦に臨んだ。事前にこの日に行われる3位決定戦と決勝戦の共通入場券を購入していた敗戦処理。はおそらく今年最後になるであろう、生観戦のために東京ドームに足を運んだ。もちろん、購入した時には侍ジャパンは決勝戦に出るつもりで購入したのだが…。
試合は、侍ジャパン打線が序盤にメキシコを圧倒。初回に山田哲人のソロ本塁打で先制すると、二回裏には敵失によって追加点を奪い、山田の二打席連続本塁打を含む三本のツーラン本塁打で7点を加えた。試合は9対1で迎えた七回裏に秋山翔吾のツーラン本塁打で11対1とし、大会規定でコールドゲームとなった。
まるで準決勝での逆転負けの憂さを晴らすような侍ジャパンの一発攻勢だった。侍ジャパンは第一回のプレミア12で銅メダルという結果に終わった。
そしてその後に行われた決勝戦では韓国がアメリカを8対0と圧勝して初代世界一の座に着いた。
韓国代表チーム、第1回プレミア12、優勝おめでとう!
(写真:表彰式で、優勝トロフィーを高く掲げる、第1回プレミア12優勝チームの韓国代表)
19日に準決勝で敗れてから、一部のファンやマスコミの間で小久保裕紀監督へのバッシングが始まったのは残念だった。確かに拙blogでも前エントリーどうして「最後は則本」だったのか!?で指摘したように、準決勝の継投策は合点がいかない。だが、今になって監督経験のない人物を監督に据えたことを批判してもしかたないだろう。小久保監督の就任以来一貫して小久保監督を批判している人なら話は別だが、結果論で叩いても意味がない。推測だが、どうせ準決勝の八回までは侍ジャパンの勝利を確信していたんでしょ、そういう人たちは?
日本代表は第1回と第2回のWBCこそ現役監督であるホークスの王貞治、ジャイアンツの原辰徳が務めたものの、やはり現役監督のかけもちは難しいということで、第3回のWBC終了後に、サッカーの代表監督のように常駐する専任監督の必要性を感じ、2017年のWBCまでを見据えた若い監督像ということで、監督経験がないながら、現役時代に見せたリーダーシップなどに可能性を見出し、小久保に大役をゆだねたのだった。
個人的には、準決勝敗退という結果は期待外れだ。今日の共通券のチケットだって、侍ジャパンが決勝戦に出ることを期待して9月に購入したものだ。もっとも、他出場国の戦力分析を出来るほどの知識を持ち合わせている程ではないが…。
メキシコの登板投手の登板間隔などを把握していないので、先発投手のミゲル・ペーニャの状態がどうだったのかわからないが、調子が出る前に山田哲人が一発を浴びせた。
ペーニャは続く二回には二死三塁のピンチを何とか切り抜けたと思ったら味方三塁手がタイムリーエラー。動揺を抑える間もなく山田に二打席連続本塁打を浴び、続く筒香嘉智に四球を出したところで降板。代わったセザール・カルリージョも、この大一番だけに準備不足だったとは考えにくいが、代わりっぱなに中田翔と松田宣浩にツーラン本塁打を浴び、決定的な8点差となった。
メキシコ代表チームは、大会直前までメンバーを揃えられず、大会への出場辞退も検討されたらしいが、ここまでベスト4と健闘。予選リーグでも侍ジャパンは最終回に同点に追いつかれ、ヒヤヒヤだった。今回の出場基準となるWBSCランキング上位12カ国の12位というぎりぎりの存在だったが、いわばダークホース的存在となった。そんなチームでも一つのミスをきっかけにもろくも大量失点をしてしまうのだから、野球という競技は「一寸先は闇」だというしかない。
七回裏に秋山翔吾に本塁打が出てスコアが9対1から11対1になった時、場内アナウンスが「試合終了でございます…」とコールドゲームの説明を始め、メキシコナインが三塁側ベンチに消えていった。
敗戦処理。は決勝戦と準決勝ではコールドゲームは無いが、3位決定戦では他の試合と同様に五回で15点差以上、七回で10点差以上でコールドゲームになることを知らなかった。準決勝以降はコールドゲームが無いのだと誤認識していた。
「優勝しなければ何位でも同じ」、「せめて決勝戦までは進んでほしかった」というファンの気持ちは理解できるが、制度上、3位決定戦が存在し、勝てば五輪と同様に銅メダルなのだから、今日の試合も勝利を目指して全力で戦うのは当然だし、大勝は素直にうれしい。
また、メジャーリーグのトップレベルの選手たちが参加しない云々も、アメリカの勝手な都合で出ないだけ。WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が制定する公認の国際大会だから、どこそこが出ないとかいうのは優勝の価値を下げるものではない。まれに「メジャーリーガーが物理的に参加できない大会」という表現を見かけたが、それは日本語の誤用だ。ワールドシリーズは終わっている。出られないのではない。出ないのだ。百歩譲って物理的に、ではない。
それでも決勝戦まで残るアメリカ代表はさすがだ。
パク・ビョンホに特大弾を浴びて四回で0対7と絶望に近い点差を広げられた後の、守備妨害の判定を巡る抗議で、一度はベンチに戻った打者走者のタイラー・パストーニッキーがグラウンドに走り出て抗議の輪に接近して観客を煽るおぞましさなどを目の当たりにすると、日本のプロ野球選手に比べればはるかに審判員に敬意を示しているはずの選手がこの大会を舐めているのか?と思えた。
プレミア12は、WBCで採用された、一度は負けても大丈夫ないささか難解なルールとは異なり、まず総当たりで順位を決め、上位のチームでトーナメントを行うという極めてわかりやすいルール。最初から上位12カ国しか出られない点を問題視する向きもあるようだが(だからこそ「プレミア12」なのだが…)、WBSCのランキングはトップリーグ(日本でいえばNPB)だけではなく、階層別のあらゆる代表チームの国際大会の成績で決められるというから、各国とも階層別のあらゆる代表に力を入れるきっかけになってほしい。
ダルビッシュ有や金田正一が主張するように、この時期はプロ野球選手は身体を休めるべきという意見も傾聴に値する面もあるだろう。だが、他のスポーツの多くが、国内での競い合いの先に「世界」を見据えている時代に日本のプロ野球が日本シリーズを終着点にしていて、明るい未来があるとはさすがに考えにくい。
四年に一度、春先に行うWBC、シーズン終了後に行うプレミア12、そして夏季五輪での野球大会が復活すれば、サッカーのワールドカップが開催されない年には必ず野球の国際大会が開催されるとい言うことになる。サッカーなどに比べればまだまだ規模は小さいにしても、世界が勝負のスポーツになってくる。公式戦の日程の組み方、試合数も再考されるかもしれない。それだけに、記念すべきプレミア12の第一回大会ではWBCに続いて日本代表には初代チャンピオンになって欲しかった。(こじつければ、野球が五輪で初めて公開競技になった1984年のロス五輪でも日本代表は優勝!)
どうして「最後は則本」いや、言うまい…。
小久保監督にとっては、学生として唯一人社会人の強者に混ざって奮闘した1992年のバルセロナ五輪で獲得して以来、23年ぶりの銅メダル獲得となった。だがやっぱり侍ジャパンには、銅メダルでなく金メダルを獲得して欲しかった。
今年の生観戦納めを日本野球が世界の頂点に輝く試合にするプランは水泡に帰した。
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